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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))

【若手ポスターセッション4】
胞状奇胎に合併したhyperreactio luteinalisの一例


奥谷 理恵, 碓井 宏和, 生水 真紀夫
千葉大学婦人科


【緒言】Hyperreactio luteinalis(黄体化過剰反応:HL)は,妊娠中に莢膜黄体化嚢胞による両側卵巣腫大と男性化徴候をきたす疾患である.卵巣腫大は自然軽快する機能性嚢胞であるため経過観察が原則である.胞状奇胎に合併したHL症例を経験したので報告する. 【症例】患者は30歳,4経妊3経産.胞状奇胎のため,妊娠8週6日(血中hCG:579,010 mIU/ml)に前医で子宮内容除去術(D&C)が施行された.雄核発生1精子受精による全胞状奇胎であった.hCGの下降が不良であったため,計3回D&Cが施行された後,当院に紹介された(初回D&Cから29日目).両側卵巣は多嚢胞性に径12cm大に腫大していたが,胸腹水は認めなかった.hCGは2,938mIU/ml,テストステロンは3.25ng/ml,エストラジオールは2,435pg/mlであった.男性化徴候は認めなかった.腹痛のため入院管理としたが,鎮痛剤による保存的加療で疼痛は改善した.初回D&Cから10週でテストステロンが正常化,17週でhCGがカットオフとなり,卵巣も17週で正常大となった. 【考察】HLは胞状奇胎で多いとの記載があるが,医学中央雑誌では,胎児共存奇胎に合併したHLが1例報告されているのみであった.当科における2005-2012年の280例の胞状奇胎管理例中でも,胞状奇胎単胎妊娠にHLを合併した症例は本例のみであった.正常妊娠に合併するHLでは,妊娠経過とともに卵巣腫大は軽快し分娩期にはかなり縮小する.本例では,D&C後hCG高値が持続したためか,長期の卵巣の観察が必要であった. 【結語】胞状奇胎に伴うHLの一例を経験した.胞状奇胎に合併したHLの報告は非常に少ない.卵巣腫大はhCG低下に伴って軽快した.


関東連合産科婦人科学会誌, 50(2) 319-319, 2013


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