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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))
【若手ポスターセッション6】
頑固な便秘症を伴った卵巣甲状腺腫性カルチノイド腫瘍の1例
小泉 朱里, 糸賀 知子, 三輪 綾子, 河村 彩, 吉田 惠美子, 太田 武雄, 永井 富裕子, 須賀 新, 西岡 暢子
越谷市立病院産婦人科
【緒言】卵巣カルチノイド腫瘍は,全卵巣悪性腫瘍の0.1%と非常に稀な神経内分泌腫瘍であり,85%に皮様嚢腫の合併を認める.今回,頑固な便秘症を伴った卵巣甲状腺腫性カルチノイド腫瘍と診断された1例を経験したので報告する.【症例】45歳 2経妊2経産.下腹部痛と1か月にわたる便秘症を主訴に前医受診.単純CTにて骨盤内腫瘤を認めたため当院紹介受診.内診では,腫瘍の可動性は良好,経腟超音波にて11cm大の卵巣腫瘍を認めた.血液検査ではCA125 43.3 U/mlと軽度上昇していた.骨盤MRIでは骨盤内左側にT1WI,T2WIともにhigh intensityを呈し脂肪抑制される6cm大の腫瘍と,T1WI,T2WIともに多彩な信号強度を示し,造影効果のある充実部分を伴った11cm大の腫瘍を認めた.皮様嚢腫と充実性成分を伴う卵巣腫瘍の診断にて手術予定とした.開腹所見では,左卵巣に新生児頭大の腫瘍を認め,少量の腹水を伴っていたが,周囲との癒着は認めなかった.また,小腸〜直腸にかけて腸管が著しく拡張していた.術中迅速診断にて皮様嚢腫及び顆粒膜細胞腫と診断されたため腹式単純子宮全摘術,両側付属器切除術,大網切除術施行.手術終了3時間後より排便がみられ,その後便秘症は改善した.最終病理診断は皮様嚢腫を合併した甲状腺腫性カルチノイド腫瘍であった.経過良好にて,第7病日で退院となった.【結語】カルチノイド腫瘍では,腫瘍から分泌されるヒスタミンやブラジキニンによる下痢や顔面紅潮といったカルチノイド症候群が有名であるが,便秘症を伴うカルチノイド腫瘍の報告もされている.皮様嚢腫に充実性腫瘍を合併した症例において,頑固な便秘症を伴う場合は卵巣カルチノイド腫瘍も鑑別に挙げる必要があると考えた.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(2)
324-324, 2013
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