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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))
【若手ポスターセッション6】
DC療法中に大量腹水を来した子宮体癌の一例
田村 俊之, 黒瀬 圭輔, 池田 真利子, 重見 大介, 新村 裕樹, 寺田 佳世子, 松橋 智彦, 川瀬 里衣子, 鴨井 青龍, 竹下 俊行
日本医科大学付属病院女性診療科・産科産婦人科
ドセタキセルの副作用をパクリタキセルと比べた場合,過敏症状や末梢神経障害,筋肉痛は弱いが,骨髄抑制や浮腫は強いといわれている.また胸水,心嚢液貯留,腹水といった体腔液貯留が知られている.特に頻度の高い浮腫については毛細血管透過性亢進が主たる原因と考えられており,総投与量が300〜400mg/m2に達すると間質へのうっ血とリンパ管への還流障害が起こり,水分貯留の発現頻度が増加すると言われている.しかし大量腹水に関してはあまり経験しない.今回我々はドセタキセル2回(120mg/m2)投与の時点で大量腹水を来した症例を経験したので報告する.
症例は70歳,子宮体癌のため子宮全摘術,両側付属器切除術,骨盤・傍大動脈リンパ節廓清術を施行,術後病理診断の結果にてEndometrioid adenocarcinoma,G1,pT2bN0M0,StageIIb期の診断にて術後にDC療法(DTX:60 mg/m2,CBDCA:AUC5)を行った.前投薬としてデキサメタゾンを投与しながら,3週間ごとに2回行ったところ腫瘍マーカー上昇を認めたためCT検査を施行.明らかな再発所見はなかったが大量腹水を認めた.腹水細胞診検査は5回行ったが異常所見を認めなかった.再発所見なく内科疾患も否定的であったためそのまま化学療法を継続,当初の予定通り6回行った.化学療法終了2か月後腹水は消失,以後外来にて経過観察しているが,腹水再貯留,再発所見は認めていない.
今回,ドセタキセル初回治療時に大量腹水を認めた症例を経験した.投与終了後の経過中に腹水が消失しており,ドセタキセルの副作用が否定できない.投与量が少量であっても副作用として腹水貯留が発生する可能性があることに留意することが管理上重要であると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(2)
326-326, 2013
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