関東連合産科婦人科学会
会員ログイン 代表挨拶
総会・学術集会
学会誌
定款
公告
利益相反
役員構成
事務局案内
求人施設一覧
関連リンク

 関東連合産科婦人科学会会誌 オンラインジャーナル

<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る

第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))

【若手ポスターセッション7】
抗菌薬投与が有効であった重症淋菌性腹膜炎の一例


柿栖 睦実, 稲垣 知子, 中尾 仁彦, 野口 唯, 糸井 博美, 間瀬 有里, 立山 尚子, 西田 直子, 深見 武彦, 松島 隆, 土居 大祐, 朝倉 啓文
日本医科大学武蔵小杉病院産婦人科


 我が国における骨盤腹膜炎の起因菌としてクラミジアが一般的であるが,重症淋菌感染症により汎発性腹膜炎を来たした一例を経験したので報告する.症例は44歳,2経妊 2経産,下腹部痛,下痢,発熱を主訴に当院を受診した.ダグラスに圧痛と下腹部に反跳痛を訴え,白血球23130/μl,CRP 1.84 mg/dlのため,附属器炎,骨盤腹膜炎の診断のもと入院管理を薦めたが,本人が拒否し,抗菌薬投与し一度帰宅した.しかし翌日になり症状悪化のため再来院,白血球54290/μl,CRP 23.99 mg/dl,下腹部の圧痛,反跳痛は腹部全体に広がり汎発性腹膜炎の診断となり緊急入院となった.経腟超音波,単純Xp,腹部骨盤CTなど画像所見では子宮付属器に異常を認めなかったが,麻痺性イレウスであった.クラミジア感染から附属器炎,骨盤腹膜炎,汎発性腹膜炎への病勢拡大を考慮しFMOX 2 g/day,MINO 200 mg/dayを開始した.頸管粘液細菌培養で淋菌DNA PCR陽性のため淋菌性腹膜炎と診断し,CTRX 1 g/day,MINO 200 mg/dayに変更し,症状は急速に改善し,入院後12日目退院となった.淋菌感染症の治療は,抗菌薬(ceftriaxone,cefodizime,spectionomycin)が有効である.近年,抗菌薬耐性の淋菌感染症が増加しており治療に難渋することもあり,薬剤感受性検査が有用となる.また急性腹症として,腹腔鏡や開腹術が行われることもあり,ドレナージや感染巣切除術が有効であることも報告されている.今回,白血球数が5万 μl/ml以上と著明な高値を示した淋菌性腹膜炎を経験した.まれな病態であるが,淋菌感染が増加しつつある現在,急性腹症や腹膜炎に対して淋菌感染を念頭に置いた対処が必要と考えられる.


関東連合産科婦人科学会誌, 50(2) 328-328, 2013


一般社団法人関東連合産科婦人科学会事務局 〒102-0083 東京都千代田区麹町4-7 麹町パークサイドビル402 株)MAコンベンションコンサルティング内
TEL:03-3288-0993 FAX:03-5275-1192 E-mail:kantorengo@jsog-k.jp
Copyright (C) 一般社団法人関東連合産科婦人科学会