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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))

【一般演題】
常位胎盤早期剥離における重症度の予測因子に関する検討


王 良誠, 鈴木 敏史, 江良 澄子, 斎木 美恵, 松永 茂剛, 小野 義久, 松村 英祥, 村山 敬彦, 高井 泰, 斎藤 正博, 馬場 一憲, 関 博之
埼玉医科大学総合医療センター産婦人科


【緒言】常位胎盤早期剥離は児の予後にも影響をおよぼすばかりでなく,凝固障害を発症し重篤な産科DICを引き起こすこともある危機的疾患の一つである.その重症度の予測因子は確立されておらず,突発的に発症するため,対応に難渋する例も少なくない.最近,HELLP症候群のDIC発症予測因子として血中fibrinogen/CRP比(以下F/C比)の有用性が報告されているため(Am J Obstet Gynecol, 2013),常位胎盤早期剥離におけるF/C比の有用性について検討した.【方法】2004年から2010年に当科で管理した常位胎盤早期剥離61例について,診療録をもとに血液検査所見,母児の経過を後方視的に解析した.相関関係の評価にはSpearman's rank correlation coefficient(ρ)を用い,P<0.05を有意差ありとした.【結果】F/C比は,Apgarスコア,RCC輸血量,FFP輸血量,血小板輸血量,産科DICスコアと有意な相関関係を認めた.しかしながら,相関関係の強さを表すρ値を用いて,以上の項目との相関の強さをfibrinogen値単独と比較すると,全てfibrinogen値の方がF/C比より強い相関関係を認めた.比較的軽症と考えられるfibrinogen≧100 mg/dlの症例に限定したところ,fibrinogen値のみがApgarスコアおよび産科DICスコアと有意な相関を認めた.【結論】fibrinogen低下が軽度の線溶抑制型DICとされるHELLP症候群でF/C比は有用だが,線溶亢進型の常位胎盤早期剥離ではfibrinogen値単独の方が重症度予測因子として優れており,周術期の凝固因子補充や新生児への対応の目安となる可能性が示唆された.


関東連合産科婦人科学会誌, 50(2) 332-332, 2013


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