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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))
【一般演題】
男性胎児妊娠が常位胎盤早期剥離の発症に与える影響に関する検討
土山 史佳, 小川 正樹, 金野 潤, 井出 早苗, 三谷 穣, 牧野 康男, 松田 義雄, 松井 英雄
東京女子医科大学産婦人科
【緒言】近年のゲノムワイド関連解析により,Y染色体上に血管系疾患の発症に関与する遺伝子の存在が推定されている.常位胎盤早期剥離は,血管系疾患の側面を有しているが,その発症原因は不明である.本研究では,Y染色体を有する男性胎児の妊娠と常位胎盤早期剥離についての関連性の有無を明らかにすることを目的として行った.【方法】日本産科婦人科学会周産期データベース2009年版で常位胎盤早期剥離と診断され,除外基準該当症例を除いた348例を検討対象とした.対象を男性胎児妊娠症例(以下male:M群)と女性胎児妊娠症例(以下female:F群)に分類し,背景因子,危険因子,および周産期転帰に関して2群間で比較した.本研究は学内倫理審査を経てから実施された.【結果】M群(191例)とF群(157例)の性比は1.2であった.発症時年齢,出産歴および母体搬送の有無について両群間に有意差は認めなかった.危険因子としての外傷,喫煙,高血圧,既往の常位胎盤早期剥離の有無についても有意差は認められなかったが,妊娠高血圧症候群(以下PIH)の有無については有意差が認められた.すなわちM群では30/191例(15.7%)にPIHが認められたが,F群では44/113例(28.0%)にPIHが認められた(オッズ比:0.48,95%信頼区間:0.29-0.80,p=0.005).両群間で周産期予後に有意な差は認められなかった.【考察】男性胎児妊娠は,常位胎盤早期剥離の周産期転帰に関与しない.しかし,男性胎児妊娠では,母体のPIHを基礎疾患とする常位胎盤早期剥離の発症が,女性胎児妊娠に比べて有意に少なく,別の機序が推定された.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(2)
332-332, 2013
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