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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))
【一般演題】
ジエノゲストの長期投与により血液濃縮を来した症例の検討
吉村 嘉広, 板倉 彰子, 荻野 弓希子, 石川 雅一, 川内 博人, 海野 信也, 恩田 貴志
北里大学病院産婦人科
目的:ジエノゲストは,その優れた有効性から子宮内膜症例治療における有用性が認識されている.また近年では長期投与例についての報告も散見される.今回我々はジエノゲストの長期投与例において注目すべき臨床検査値異常を認めたので報告する.方法:当科では2008年4月から2012年6月までの2年4か月の間に141例の症例にジエノゲストの投与を開始した.このうち6か月以上投与を継続したのは70例だった.適応は,子宮内膜症性嚢胞が43例(61%),子宮腺筋症は16例(22.9%),子宮内膜症性嚢胞と子宮腺筋症の合併は9例(12.8%),月経随伴性気胸が2例(2.9%)だった.59例に血液検査が行われており,その結果を検討した.成績:59例の血算で当院の基準値であるHb 15g/dlまたはHt 45%を越える血液濃縮が,11例(18.6%)に認められた.血液凝固系,血液生化学に異常を認めた症例はなかった.血液濃縮を認めた症例と濃縮を認めなかった症例を比較したところ,適応疾患は同様な傾向を認めた.平均投与期間は非濃縮例19.2ヶ月に対し,濃縮例では28ヶ月と長期だった.一方,投与開始前に貧血や過多月経を認めていた例の割合は両群に差はなかった.血液濃縮発症後の検査値の推移は,投与の中止や継続,減量にかかわらず基準値範囲内に復する傾向がみられた.結論:ジエノゲストの投与により,月経停止あるいは月経血量の減少が長期化することにより血液濃縮をきたした可能性が示唆された.基準値を越えるような血液濃縮は一過性であると考えられるが,濃縮傾向が持続する症例においては血栓症を誘発するような状況を未然に防止するよう,慎重な検査値の推移の観察や適切な生活指導が必要と考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(2)
334-334, 2013
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