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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))
【一般演題】
フェンタニルによるIVPCAで長期間の疼痛管理を施行した子宮腺筋症合併妊娠の一例
酒井 あゆみ1, 高井 泰2, 斉木 美恵1, 松村 英祥1, 村山 敬彦1, 斉藤 正博1, 馬場 一憲1, 関 博之1
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター母体胎児部門1, 埼玉医科大学総合医療センター産婦人科2
【緒言】近年の高齢妊娠の増加と生殖医療の普及により,子宮腺筋症合併妊娠が増加している.子宮筋腫合併妊娠ではしばしば変性による疼痛管理を要するが,子宮腺筋症合併妊娠も疼痛管理を要する場合がある.今回我々は,従来法で管理困難な疼痛に対して,欧米で無痛分娩の際に用いられるフェンタニル静注による患者自己管理鎮痛法(フェンタニルIVPCA)を施行し,良好な成績を得たため報告する.【症例】36歳,0経妊0経産.IVF-ETで妊娠成立し,妊娠16週より19週まで前医で疼痛管理後,当科を紹介受診した.23週より激痛のため当科に再入院したが,アセトアミノフェン,NSAIDsの内服や塩酸ペンタゾシン静注による鎮痛は困難だった.硬膜外麻酔も検討されたが,長期のカテーテル留置による感染のリスクを考慮し,患者の同意を得た上でフェンタニルIVPCAを27週より開始した.これにより良好な疼痛管理が得られ,36週6日に臍帯因子による胎児機能不全で緊急帝王切開術を施行し,2132gの生児を得た.新生児蘇生は不要だったが,生後1日目に頻回の嘔吐と哺乳不良を認め,4-5日目に高ビリルビン血症に対する光線療法を要した.その後の母児の経過は良好だった.【考察】分娩時のフェンタニルIVPCAでは硬膜外麻酔に比べて新生児蘇生を要する割合が増えると報告されている.妊娠中期から長期的に用いた報告はないが,今回の経過からはやむを得ない対応だったと考える.母体血中および臍帯血中のフェンタニル濃度を測定中であるため,その結果と合わせて母児への影響の有無について考察したい.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(2)
340-340, 2013
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