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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))
【一般演題】
肺動静脈瘻治療後に良好な転帰をとった遺伝性出血性毛細血管拡張症合併妊娠
齋藤 こよみ, 高橋 宏典, 薄井 里英, 鈴木 はる奈, 永島 友美, 桑田 知之, 大口 昭英, 松原 茂樹, 鈴木 光明
自治医科大学産婦人科
【緒言】遺伝性出血性毛細血管拡張症(Hereditary hemorrhagic telangiectasia:HHT)はOsler-Weber-Rendu病とも言われ,脳,肺などの動静脈瘻(A-V malformation:AVM),繰り返す鼻出血,皮膚粘膜の毛細血管拡張を特徴とする常染色体優性遺伝性疾患である.HHT合併妊娠では肺AVM破綻により,母体死亡に至ることがあり,その管理に難渋する.【症例】30歳,初産婦.既往歴,家族歴は特になし.29歳ムンプス罹患時,低酸素血症(room airでSatO2 89%)を指摘され,当院に紹介となった.胸部CT上,左S1+2,右S10に肺AVM,また脳MRI上,左前頭葉にAVMが認められた.理学所見上も舌の血管拡張がみられ,HHTが疑われた.低酸素血症改善のため,右肺病変にコイル塞栓術を施行し,room airでSatO2 97%と上昇,およびシャント率も改善(24%→14%)した.術後7か月で自然妊娠成立し,当科で管理.胎児発育遅延のため妊娠34週より入院管理したが,胎児発育は緩徐ながらみられた.経腟分娩に伴う血圧上昇による脳出血,肺出血を予防するため,妊娠37週3日,選択的帝王切開術を施行した.児は2070g,男児,Aps8/9でHHTを示唆する異常はみられなかった.術後9日目に軽快退院した.【結語】肺AVMを合併したHHT女性に対する妊娠前コイル塞栓術はその後の妊娠出産予後を改善させる可能性があり,積極的に考慮すべきかもしれない.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(2)
341-341, 2013
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