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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))
【一般演題】
常位胎盤早期剥離発症時の凝固線溶マーカーと血小板数の比較
小田 智昭1, 伊藤 敏谷1, 矢田 大輔1, 窪田 尚弘1, 鈴木 康之1, 金山 尚裕2
富士市立中央病院産婦人科1, 浜松医科大学産婦人科2
【目的】常位胎盤早期剥離(早剥)はDICを発症しこれが母児の予後の悪化を招く大きな原因である.早剥のDICを早期に把握するにはどのようなマーカーが重要かについて検討した.【方法】我々の施設で経験した過去4年間の24例の早剥について診療録から後方視的に検討した.早剥は血腫の面積が胎盤の10%以上で胎児機能不全,下腹痛,性器出血など臨床所見的にも早剥であるものを対象とした.上記早剥例において産科DICスコアに採用されている血小板数,フィブリノゲン値,FDPとの関連について検討した.検査値は早剥診断時の検査値を採用した.また早剥の原因として妊娠高血圧症候群や絨毛膜羊膜炎などの原因が明らかなものと,原因不明なものに分け,前者を妊娠高血圧症候群・絨毛膜羊膜炎(PIH・CAM)群,後者を原因不明群としてこの2群におけるマーカーの差異についても検討した.【成績】対象24症例の早剥診断時に血小板数≦10万/mm3のものは24例中1例も存在しなかった.フィブリノゲン≦150mg/dLのものは24例中3例(12.5%)であり,FDP≧10μg/mLは24例中18例(75%)であった.PIH・CAM群は7例あった.PIH・CAM群でフィブリノゲン≦150mg/dLのものは1例もなかったが,FDPは7例すべてでFDP≧10μg/mLであった.一方原因不明群ではフィブリノゲン≦150mg/dLは17例中3例(18%),FDP≧10μg/mLは17例中例中11例(65%)であった.【結論】早剥ではフィブリノゲン値,FDPが早期から変動するマーカーであることが確認された.血小板数は早期には減少しないことを認めた.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(2)
344-344, 2013
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