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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))
【一般演題】
ヘパリンカルシウムにアレルギーを呈した血栓性素因合併妊娠の2症例
米澤 美令, 里見 操緒, 新村 裕樹, 大内 望, 五十嵐 美和, 桑原 慶充, 澤 倫太郎, 磯崎 太一, 明楽 重夫, 竹下 俊行
日本医科大学女性診療科産科
抗リン脂質抗体症候群などの血栓性素因合併妊娠に対し,アスピリンと共にヘパリンが併用されており,ヘパリンは在宅自己注射療法として行われることが多くなっている.重篤な副作用は報告されていないが,軽微な副作用はしばしば経験される.今回妊娠中期にヘパリンカルシウムによると思われるアレルギー反応を認めた症例を経験したので報告する.【症例1】34歳,3回経妊1回経産.2回反復流産後不育症原因精査にてプロテインS欠乏症,第XII因子欠乏症にて,ヘパリン・アスピリン(HA)療法にて第1子を出産.今回妊娠直前の検査でもプロテインS欠乏症,第XII因子欠乏症認め,妊娠初期よりバファリンおよびヘパリンカルシウムの在宅自己注射療法を開始した.妊娠16週まで順調に経過したが,この頃から注射部位のかゆみを訴えた.妊娠18週,注射部位の発赤,熱感,中央部膨疹,硬結出現.妊娠19週,膨疹増大,発熱,全身掻痒感を覚えるも自己判断でさらに3日間注射を続け,症状軽快せず受診.ヘパリンカルシウム中止とし,エノキサパリンナトリウムに変更した.その後症状消失し,順調に経過し生児獲得となった.【症例2】38歳,2回経妊0回経産.不育症原因精査にて,抗カルジオリピン抗体IgG強陽性,血小板凝集能著明亢進を認めた.体外受精にて妊娠成立.妊娠5週1日よりHA療法を開始した.妊娠33週よりアレルギー性皮膚炎が出現したため,エノキサパリンナトリウムに変更したところ症状は消失し,その後も経過問題なく,妊娠40週,2928g男児を分娩した.ヘパリンの在宅自己注射療法は概ね安全に行われているが,時に副作用の出現があることを念頭におき,慎重な管理が必要と思われた.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(2)
347-347, 2013
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