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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))
【一般演題】
常位胎盤早期剥離を発症した子宮中隔切断術後妊娠の一例
佐川 義英, 古村 絢子, 鮫島 大輝, 寺田 光二郎, 中村 泰昭, 落合 尚美, 中川 圭介, 中江 華子, 五十嵐 敏雄, 梁 善光
帝京大学ちば総合医療センター産婦人科
【緒言】子宮奇形は全女性の0.5%程度に認められるが,不妊症・不育症のみならず妊娠時の合併症の頻度が高いことも知られている.一方,常位胎盤早期剥離の危険因子の1つとして子宮奇形が挙げられている.今回われわれは子宮鏡下中隔切断術施行後に自然妊娠に至ったものの,妊娠35週に常位胎盤早期剥離を発症した一例を経験したので報告する.【症例】27歳,2経妊0経産.23歳時より子宮奇形を指摘されていたが,結婚後2度の稽留流産のため精査し完全中隔子宮と診断された.このため次回の妊娠に先立ち子宮鏡下子宮中隔切断術施行したところ,術後4周期目に自然妊娠した.妊娠初期より不正出血・腹緊増強等の症状を訴え,切迫流産・早産の診断で入院管理を行った.最終的に塩酸リトドリンと硫酸マグネシウムを併用となったが,妊娠35週に入ったため塩酸リトドリンを漸減・中止した.そうしたところ妊娠35週5日に突然の大量出血(1000ml)し,さらに胎児心拍80bpmと低下したため胎児ジストレスの診断で緊急帝王切開術施行となった.児娩出時,胎盤は既に子宮から剥離しており,また子宮体部・中隔痕の左後壁は青黒く変色しており,常位胎盤早期剥離が原因と確定した.児は2498gの男児,Apgar score5/8点.母体は経過良好で産褥8日目に退院となった.【考察】子宮奇形合併妊娠は子宮奇形の治療後においても妊娠経過中の常位胎盤早期剥離等のリスクが正常妊娠より高いことを念頭においた周産期管理が重要である.本例の経過と本症での常位胎盤早期剥離発症機転についての考察も含めて報告する.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(2)
349-349, 2013
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