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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))
【一般演題】
著明な頚管短縮を呈した円錐切除後妊娠の2症例
林田 弘美, 尾本 暁子, 真田 道夫, 岡山 潤, 森本 沙知, 中田 恵美里, 井上 万里子, 田中 宏一, 長田 久夫, 生水 真紀夫
千葉大学産婦人科
近年,子宮頚癌の若年化と妊娠の高齢化により挙児希望のある女性に円錐切除術が施行されることが多くなっている.子宮頚癌の診断・治療には十分な切除が必要であるが過剰な切除は妊娠継続を困難にする可能性がある.今回,円錐切除術後の子宮頚部の欠損により,頚管縫縮術が困難であった2症例を報告する.【症例1】40歳,2経妊0経産(9w:自然流産,20w:前期破水後自然流産)X-7年他院にて子宮頚部異型性のためLEEP法による円錐切除術が施行された.術後より月経モリミナを発症し数か月毎の頚管拡張が必要となった.X-2年,9週で自然流産.同年20週で前期破水後に自然流産となった.X年,AIHで妊娠成立.妊娠14週時の頚管長は8mmで,妊娠15週にマクドナルド氏手術を施行した.円錐切除創周囲の腟壁が瘢痕性に硬化狭窄しており,手術操作は困難であった.子宮全面下節漿膜面を掬うようにして縫縮した.術後頚管長の延長認めたが,妊娠19週時子宮口1cm開大,22週前期破水,妊娠23週胎胞脱出となり帝王切開を施行した.【症例2】28歳,0経妊0経産.X-1年他院にて円錐切除術施行,術後9か月より月経モリミナとなり月1回の頚管拡張を行っていた.X年より月経前から1週間に1回の頚管拡張を行い,1回目のAIHにて妊娠成立.妊娠12週,シロッカー氏手術を施行した.子宮腟部は欠損していたが頚管組織が1.5cm残っており子宮下節全面まで漿膜を剥離して二重に縫縮した.現在妊娠21週で超音波検査上,頚管長19mmで,妊娠継続中である.【結語】妊娠継続の観点からは,子宮頚部結合組織の温存が大切であることが指摘されている.挙児希望のある女性の円錐切除にあたっては子宮腟部の形態と機能への配慮が望まれる.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(2)
350-350, 2013
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