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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))
【一般演題】
当院で経験した前置血管5例における周産期臨床像の検討
祝井 麻希, 春日 義史, 池ノ上 学, 門平 育子, 松本 直, 峰岸 一宏, 宮越 敬, 青木 大輔, 吉村 𣳾典
慶應義塾大学産婦人科
【緒言】前置血管は比較的稀な疾患であるが,分娩前の診断が周産期予後を左右しうる異常妊娠の1つとされる.今回,我々は当院で経験した前置血管5例の周産期臨床像について,文献的考察を含めて検討し報告する.【方法】2009年以降に当院で周産期管理を施行した前置血管5例を対象とし,周産期臨床像について後方視的に検討した.【結果】母体背景は年齢34歳.全例単胎(自然妊娠4例,体外受精/胚移植1例)で,3例は妊娠初期からの当院管理例,2例は切迫早産による母体搬送症例であった.母体搬送症例はともに前医で前置血管を指摘されていなかった.平均診断週数は妊娠26週であり,経腟超音波検査で内子宮口近傍の子宮壁内側に管腔構造を認め,カラードプラで胎児血流を確認したことから前置血管と診断した.また,経腹超音波検査では,臍帯の子宮腔内の走行および胎盤辺縁付着像の確認が可能であった.平均分娩週数は妊娠34週であり,術中超音波検査は帝王切開術時の子宮切開部位の決定に有用であった.5例中3例に低置胎盤(副胎盤合併:1例)を認め,全例で臍帯卵膜付着であった.【考察】今回,我々は当院で経験した前置血管5例における周産期臨床像について検討した.当院では全例が臍帯卵膜付着で3例に低置胎盤を認めた.経腟超音波検査は内子宮口付近の管腔構造の検索には有用であり,帯血管の有無を判定することが可能であった.前医では未診断の母体搬送例があったことから,頸管長測定のみならず臍帯や胎盤位置の確認は重要である.さらに帝王切開術時に術中超音波検査を施行することで,子宮腔内における臍帯の走行を確認し臍帯血管損傷を回避しえたと考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(2)
355-355, 2013
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