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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))
【一般演題】
複数の臍帯異常により胎児機能不全を来した1例
三科 美幸, 長谷川 潤一, 仲村 将光, 大場 智洋, 市塚 清健, 松岡 隆, 関沢 明彦, 岡井 崇
昭和大学産婦人科
臍帯異常は妊娠中に胎児発育の問題を生じ,分娩中には急激な胎児心拍数異常と胎児機能不全が有意に多いと報告されている.今回我々は,複数の臍帯異常の合併によって,胎児発育不全,および妊娠中の胎児機能不全を来した1例を経験したので報告する.症例は39歳,0回経妊,他院で妊婦健診を受けており,妊娠20週より-1.5SDの胎児発育不全を指摘され,経過を観察されていた.転居のため妊娠25週より当院で妊婦健診を施行していた.児推定体重は-1.5SDと胎児発育不全であったが,標準下限辺りで発育をしていたため外来で経過を観察していた.妊娠34週6日,推定体重1707g,-2.2SDとなり周産期管理のため入院した.入院時の超音波検査で,児には明らかな形態異常を認めなかった.胎盤は,常位前壁付着でgrade0,形状に明らかな異常はなかった.2回の臍帯頸部巻絡とcoiling index 0.71の臍帯過捻転が認められ,これらが胎児発育不全の原因になっている可能性があると考えられた.入院後も臍帯動脈や子宮動脈の血流異常は認められず,ノンストレステストもreassuring patternであったが,妊娠36週2日,NSTで軽い子宮収縮後に持続5分,nadir58bpmの重度遷延性一過性徐脈をみとめた.臍帯異常の存在が明らかだったので,胎児機能不全の診断で緊急帝王切開を施行した.児は問題なく娩出したが,2回の臍帯頸部巻絡と臍帯過捻転,臍帯長80cmの過長臍帯を認め,複数の臍帯異常により妊娠中に胎児機能不全を来したと考えられた.臍帯異常の症例では分娩中に胎児機能不全となることが多いが,複数の臍帯異常が合併している場合は,妊娠中でも胎児機能不全を来す可能性があり,厳重な管理が必要と思われた.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(2)
356-356, 2013
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