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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))
【一般演題】
腎静脈から卵巣静脈の血管内に発育した平滑筋肉腫の一例
金子 明夏1, 三橋 暁1, 山本 憲子1, 錦見 恭子1, 楯 慎一1, 碓井 宏和1, 生水 真紀夫1, 清川 貴子2, 岩本 雅美2
千葉大学婦人科1, 千葉大学病理2
【緒言】平滑筋肉腫(Leiomyosarcoma,LMS)は,稀な軟部腫瘍である.血管壁から発生するLMSは2%程度にすぎず,その多くは下大静脈に発生するが,下大静脈以外の好発部位は腎静脈である.今回われわれは,左腎静脈から左卵巣静脈の血管内に発育した静脈壁原発LMSの症例を経験したので報告する.【症例】患者は,69歳女性(閉経51歳).左鼠径部の腫瘤感と下腹痛を自覚し,前医を受診した.CT検査で左後腹膜腫瘤とリンパ節腫大を認めたため,当院へ紹介された.子宮に異常はなかったが,子宮左側から左腎にかけて連続する索状腫瘤を認めた.腫瘤周囲に上向性の血流を認めたたことから,卵巣静脈から腎静脈にかけて進展する血管内腫瘍と判断した.腫瘍マーカー(LDH・CA19-9・CA125)の上昇はなかった.形態からintravenous leiomyomatosisを疑い,子宮全摘・両側付属器切除・血管内腫瘤摘出を計画した.左卵巣静脈根部から腎静脈にかけて血管壁を切開し腫瘍摘出を試みたが,腫瘍が血管壁と固着しており,左腎静脈・左腎合併切除を行って切除を完遂した.病理診断は静脈壁原発低異型平滑筋肉腫,進行期はpT2bN0,Stage IBであった.術後はアドリアマイシン・イフォスファミド療法を追加し,外来経過観察中である.【結語】骨盤の静脈内を進展する腫瘤はまれであるが,鑑別診断としてintravenous leiomyomatosisの他にLMSも念頭に置く必要がある.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(2)
357-357, 2013
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