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<< 学会誌へ戻る 【緒言】播種性腹膜平滑筋腫は術前にその診断に至るのが困難な疾患である．今回我々は悪性の播種病変が疑われる疾患に対し子宮全摘術，両側付属器摘出術を行ったが，術後に播種性腹膜平滑筋腫と診断された症例を経験したので報告する．【症例】49歳，2経妊2経産，未閉経．下腹部痛，胃腸症状で来院．MRIで多発する筋層内筋腫，腹膜に嚢胞性病変を多数認め，子宮内膜症性嚢胞もしくは間葉系腫瘍による播種病変と思われた．卵巣悪性腫瘍の播種が疑われた為，摘出術を行った．【術中所見】子宮は筋腫により鵞卵大に腫大，両側卵巣は正常であった．膀胱子宮窩，S状結腸間膜，直腸表面，大網に米粒大~3cm大の播種性病変を多数認め，一部を生検し迅速病理診断を行った．【術中迅速病理診断】異型に乏しい紡錘形細胞が錯綜構造を成し平滑筋腫もしくはGISTと考えられたが良悪性の診断は困難であった．【術後病理組織診断】異型に乏しい紡錘形細胞が増殖しMIB-1 indexは5%程度であり，悪性を示唆する所見はなかった．又，一部間質を伴う内膜腺上皮構造を伴い，adenomyosisの所見を認めた．免疫組織化学染色では全検体でSMAの発現を認め，c-kit，CD34，S-100の発現は認めなかった．以上所見より播種性腹膜平滑筋腫と診断した．【その後の経過】本腫瘍はエストロゲン依存性であり，両側付属器切除を行っていることから今後の腫瘤増大の可能性は低いと判断しホルモン療法は行わなかった．しかし術後3か月目に回腸に癒着性イレウスを認め小腸機能的端々吻合術を施行した．悪性転化を疑ったが残存していた播種病変は縮小し，病理組織学的にもMIB-1 indexは1%と低下しており付属器切除による低エストロゲンの影響を受けていると判断し引き続き経過観察とした． 関東連合産科婦人科学会誌, 50(2) 358-358, 2013 |
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