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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))
【一般演題】
血清が茶褐色を呈した内膜症性嚢胞破裂の1例
高橋 詳史1, 渡辺 尚1, 木村 円1, 田中 均1, 藤原 寛行2, 松原 茂樹2, 鈴木 光明2
芳賀赤十字病院産婦人科1, 自治医科大学産婦人科2
婦人科領域においては,内膜症性嚢胞の破裂により急性腹症を呈する症例をしばしば経験する.今回我々は,内膜症性嚢胞の破裂により血清が茶褐色を呈したと思われる1例を経験したので報告する.症例は27歳,未経妊,婦人科受診歴なし.2012年11月上旬,突発する腹痛を主訴に近医内科を受診し,腹部エコーで腹水貯留を認めたため当院内科へ紹介となった.腹部CT検査で上腹部から骨盤内にかけて出血性変化を伴った腹水貯留を認め,骨盤内に多房性嚢胞病変を認めたため当科紹介となった.MRI検査では内膜症性嚢胞が示唆され,明らかな充実成分は認めなかった.血清が茶褐色を呈しており,腫瘍マーカー値はCEA 21 ng/ml,CA19-9 6258 U/ml,CA125 2861 U/mlといずれも高値であった.腹部症状は当科受診後に改善したが,白血球16900/μl,CRP 23 mg/dlと炎症反応が高値であり,内膜症性嚢胞破裂の診断で開腹手術を行った.腹腔内には内膜症性嚢胞内溶液と思われる茶褐色の腹水を多量に認めた.両側卵巣腫瘍核出術を行い,術後病理診断は内膜症性嚢胞で悪性所見を認めなかった.血清の色は手術翌日より経時的に黄色透明化した.血清の茶褐色変化は,内膜症性嚢胞の破裂を疑う重要な所見であると思われる.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(2)
365-365, 2013
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