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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))
【一般演題】
スピロノラクトンは片頭痛治療薬となる可能性がある
栗下 昌弘1, 田中 美香1, 鳥羽 三佳代2
東京共済病院婦人科1, 東京医科歯科大学産婦人科2
われわれは,第123回当学会において,スピロノラクトンが月経困難症や過多月経に対する有効な治療薬となりうる可能性を示した.その後,20症例においてスピロノラクトンの有効性を経験した.今回は,その中で月経関連片頭痛の緩和に有効であった8症例を経験したので,20症例の内訳および,月経関連片頭痛に関する文献的考察を含めて報告する.子宮腺筋症,子宮内膜症性卵巣嚢胞,子宮筋腫を基礎疾患とし,月経困難症,過多月経を主訴とする22症例について検討した.副作用のため服用できなかった2例を除き20症例で,月経困難症,過多月経の緩和に有効であった.スピロノラクトンの投与量は1日50mgから100mgであった.月経関連片頭痛に有効であった8例は,子宮腺筋症5例,子宮腺筋症と子宮内膜症性卵巣嚢胞合併2例,子宮筋腫1例ですべて40歳以上であった.頭痛外来に通っていた2例はトリプタンを処方されていたが,効果が少なかった.低容量ピルを服用後にスピロノラクトンを処方した2例とも,スピロノラクトンの方が改善度が高かった.【考察】血中エストロゲン濃度の低下が月経関連片頭痛の誘因であると言われている.治療は片頭痛の一般的な治療薬であるトリプタンのほか,エストロゲンの低下を防ぐために,低容量ピルが用いられるが,効果は十分ではない上,40歳以上での血栓症のリスクが危惧される.スピロノラクトンは血栓症のリスクもなく,安全性の高い薬剤である.薬理学的にはエストロゲンを低下させる作用があり,低容量ピルとは異なる作用機序が考えられる.【結論】スピロノラクトンは片頭痛治療薬となる可能性があるが,その改善効果の機序については不明な点がある.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(2)
366-366, 2013
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