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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))
【一般演題】
MPA療法後に治療を中断し,再発後にTC療法を含む集学的治療が奏効した子宮体癌の一例
大西 賢人, 高野 恭平, 竹内 亜利砂, 張 士青, 中西 美紗緒, 桝谷 法生, 定月 みゆき, 矢野 哲, 箕浦 茂樹
国立国際医療研究センター病院産婦人科
【緒言】子宮内膜に限局する高分化型類内膜腺癌では妊孕性温存療法が可能であるが,治療後の再発率は高く,予後については十分なデータがない.今回我々は,MPA治療直後に体外受精に移行したまま婦人科受診を中断し,多発転移を伴い再発した症例を経験したので報告する.【症例】0経妊0経産.36歳時に不正性器出血を主訴に近医を受診後,当科紹介受診となった.内膜生検にて類内膜腺癌,Grade 1が検出され,子宮体癌Ia期と診断した.本人が妊孕性温存を強く希望し,MPA 600 mg/day内服投与の方針とした.MPAは計36週間投与した.5回目の子宮内膜掻爬術からは腫瘍成分は検出されず,近医で体外受精を施行するため,当院での経過観察は終了とした.その後,本人が不妊治療を中断すると同時に,子宮体癌の経過観察も中断された.治療終了から8年後,労作時呼吸困難を主訴に近医を受診し,再発が疑われて当科紹介となった.内膜生検にて扁平上皮への分化を伴う類内膜腺癌,Grade 1が検出され,脳,肺,腟,リンパ節転移のある子宮体癌の再発と診断した.MPA投与を再開し全脳照射40Gyを施行の上,単純子宮全摘術及び両側付属器摘出術を施行した.術後病理診断では内膜生検と同組織型であったが,Grade 3と診断された.TC療法を開始したところ転移巣は縮小し,現在も再燃なく治療を継続している.【結語】本症例は子宮体癌の経過観察が継続されていれば早期に再発が発見できた可能性がある.また,再発子宮体癌に対してTC療法が有効である可能性が示唆された.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(2)
369-369, 2013
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