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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))

【一般演題】
腹腔内implantationをきたしたstruma ovariiの1例


田中 沙織, 田口 雄史, 市山 卓彦, 佐藤 杏奈, 植木 典和, 平山 貴士, 山口 貴史, 菅沼 牧知子, 田中 利隆, 五十嵐 優子, 三橋 直樹
順天堂大学医学部附属静岡病院産婦人科


 卵巣甲状腺腫は,全卵巣腫瘍の0.3〜0.5%と稀な胚細胞腫瘍で,組織学上良性腫瘍に分類される.今回我々は腹腔内implantationを呈し,臨床的悪性と判断したstruma ovariiの1例を経験したので報告する.症例は40歳,2経妊2経産.既往歴:30歳時,内膜症性嚢胞のため他院で右卵巣嚢腫摘出術施行.38歳時からバセドウ病の診断でチアマゾールとレボチロキシンを内服している.現病歴:他院で卵巣腫瘍を指摘され当院紹介受診.MRI上,T1強調像でlow〜high,T2強調像でhighの多房性の骨盤内腫瘍を認め,両側卵巣チョコレート嚢腫再発を疑って開腹術を行った.付属器は右卵巣に3cm大の単房性腫瘍を認めるのみであり,膀胱子宮窩やダグラス窩腹膜,腸管膜に直径2〜5cm程度の多房性嚢胞性腫瘤を多数認め,無数に腹腔内implantationの所見だった.腫瘤の一部は骨盤壁に癒着しており,全ての摘出は困難であったため,両側付属器切除と一部腫瘍摘出を施行した.病理組織診断は卵巣・播種性病変共に,奇怪核を一部に持つが核分裂像に乏しく,struma ovariiの診断であった.術後に行った甲状腺吸引細胞診は正常であり,卵巣原発の甲状腺腫の診断となった.病理学的には悪性とはいえないものの,腹腔内播種の状況から臨床的悪性と考え,十分なICのもと,BEP療法を開始した.現在3コース目施行後であり,残存腫瘍について今後評価する予定である.卵巣甲状腺腫は,悪性転化したり,遠隔転移する症例などの報告がある.また,本症例の様に腹腔内にimplantationをきたす症例は非常に稀であるため,報告例を検討し考察する.


関東連合産科婦人科学会誌, 50(2) 372-372, 2013


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