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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))
【一般演題】
卵巣癌術後病理が明細胞腺癌であったが,その後病理再検討により卵黄嚢腫瘍と診断された症例
廣瀬 佑輔, 杉山 将樹, 大瀬 寛子, 島田 佳苗, 西 健, 安藤 智, 板垣 智昭, 満川 元一, 武田 豊明
水戸赤十字病院産婦人科
卵巣悪性腫瘍は大別して上皮性,性索間質性,胚細胞性,その他に分けられるが,その中でも明細胞腺癌と卵黄嚢腫瘍は病理像が類似していることが知られている.今回われわれは術後病理が明細胞腺癌であったが,その後再検討により卵黄嚢腫瘍と診断された症例を経験したので報告する.症例は39歳女性.5経妊2経産1外妊(腹式左卵管切除).一か月前からの下腹痛と発熱を主訴に当院初診受診.受診時に腹部は平坦であったが下腹部の反跳痛を認め,エコー上左付属器〜ダグラス窩の位置に87mmの充実性の腫瘍を認めた.血液検査では炎症反応とAFP6752,CA125 126と上昇を認めたため左卵巣腫瘍の感染,癌性腹膜炎疑いで入院となった.入院後抗生剤による炎症コントロールの後手術予定としたが,抗生剤治療が無効のため4病日目に単純子宮全摘+両側付属器切除+大網切除術施行.術後の病理結果は明細胞腺癌であり腹膜原発疑いであった.術後TC療法6コース施行し腫瘍マーカーAFP,CA125の陰性化のち退院.その後外来経過観察中,6コース目の二か月後にAFPのみ再上昇を認めた.画像上は明らかな腫瘤は認めなかったがPET検査で左骨盤内の20mm程の集積を認め腹膜癌再発と診断された.これに対して再発腫瘍摘出術施行.AFP上昇あり胚細胞性腫瘍も疑わしいとのことで免疫染色を追加したところ,AFPのみ陽性であり卵黄嚢腫瘍の診断となった.術後はこれに対してBEP療法4コース施行し,腫瘍マーカー陰性化を確認し退院となっている.BEP療法後半年以上再発は認めていない.AFP染色前の明細胞腺癌と卵黄嚢腫瘍の病理像は類似しているため,AFP上昇例に対しては積極的に免疫染色の検討を考慮すべきであると考える.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(2)
372-372, 2013
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