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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))
【一般演題】
多発播種を伴い卵巣癌との鑑別を要したS状結腸巨大GISTの1例
松岡 歩, 佐藤 明日香, 小野 亜希子, 平敷 好一郎, 伊澤 美彦
国保松戸市立病院産婦人科
【はじめに】Gastrointestinal stromal tumor(以下GIST)は消化管から発生する間葉系腫瘍で,卵巣腫瘍との鑑別を要する.悪性度の高いものでは播種を伴うこともある.好発部位は胃や小腸で,大腸に発生するものは5%と稀である.今回,腹腔内播種を伴い卵巣癌との鑑別が困難であったS状結腸巨大GISTの1例を経験した.【症例】64歳,2G2P.2か月前より腹部膨満感を自覚し,当院内科を受診した.腹部CTで骨盤内腫瘍と大量腹水を認めたため,当科紹介となった.骨盤MRIでは,子宮底部頭側に接して一部嚢胞成分を有する17cm大の腫瘍を認めた.腫瘍は不整に造影され,拡散強調信号の上昇を認めた.以上から,卵巣癌の疑いにて開腹術の方針となった.腫瘍はS状結腸から発生しており,子宮や両側付属器は正常であった.また腹腔内に1cm以下の播種巣を多数認めた.迅速病理検査でGISTが疑われたため,腫瘍摘出,S状結腸切除術を施行した.腫瘍はS状結腸筋層に接することなく漿膜から発生していた.組織学的には長円形核を有する紡錘形細胞が索状配列を示し,核分裂像は50視野中4個であった.c-kit(+),desmin(-),s-100(-)であり,S状結腸GISTと診断した.高リスクであり,多発播種を認めたことから,術後イマチニブの投与を開始した.【考察】GISTは稀に大量腹水や多発播種を伴い,さらに腫瘍が嚢胞形成をきたすことがあるため,卵巣悪性腫瘍との鑑別が困難である.治療は病巣の完全摘出のために腸管切除を要するため,骨盤内腫瘍の際には常に念頭に入れておく必要がある.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(2)
374-374, 2013
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