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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))
【一般演題】
悪性腹膜中皮腫の2症例
鮫島 大輝, 佐川 義英, 古村 絢子, 寺田 光二郎, 嘉本 寛江, 中村 泰昭, 落合 尚美, 中川 圭介, 中江 華子, 五十嵐 敏雄, 梁 善光
帝京大学ちば総合医療センター産婦人科
【緒言】中皮腫はどの部位の漿膜からも発生し得るが胸膜の次に腹膜原発が多い.悪性腹膜中皮腫(malignant peritoneal mesothelioma:以下MPM)は中皮腫全体の約10%程度といわれる.本疾患は卵巣癌に似た臨床症状を呈し術前に正確な診断を得ることは難しい.また治療抵抗性であり,一般的に予後不良な経過をたどることが多い.今回我々は,原発不明癌(卵巣癌疑い)の診断で開腹手術後MPMと確定したが,その後の治療に難渋した2症例を経験したので報告する.【症例1】30歳,0経妊0経産.発熱から腹腔内腫瘤を指摘された.大量の腹水を認め原発不明癌の診断で開腹手術を施行した.腹腔内にはダグラス窩腫瘤と大網・全腹膜に最大径3cmの結節性の多発播種を認めた.大網およびダグラス窩の腫瘍を摘出し,病理組織診断でMPMと確定した.後療法としてPemetrexedおよびCisplatinを中心とした化学療法を12コース,2度の腫瘍減量手術を施行するも治療抵抗性であり,初回治療から1年3か月で死亡した.【症例2】63歳,3経妊2経産.便通異常から腹腔内腫瘤が見つかった.腹水貯留・腫瘍増大が短期間に生じたため原発不明癌として開腹手術を施行した.子宮・付属器は正常なるも,大網に横行結腸動脈を巻き込んだ2.5kgの巨大結節を,さらに多発腸間膜播種・ダグラス窩腫瘍を認めた.大網腫瘍切除のみを試行したが,最終的に拡大右結腸切除術・人工肛門造設も施行することになった.病理組織診断でMPMと確定し現在術後治療継続中である.【考察】MPMは稀な疾患であり,術前診断は困難なことが多い.標準治療も確立されておらず治療に難渋することが多い.今回の2症例の経過に加えて,文献的考察を含めて報告する.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(2)
375-375, 2013
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