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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))
【一般演題】
トラマドール塩酸塩併用によりワルファリンカリウムのコントロールに難渋した血栓合併の悪性腫瘍の一例
西澤 しほり, 白井 洋平, 高水 藍, 尾崎 理恵, 加藤 紀子, 平崎 真由子, 窪 麻由美, 上山 和也, 鈴木 千賀子, 田嶋 敦, 野島 美知夫, 吉田 幸洋
順天堂大学医学部附属浦安病院産婦人科
【緒言】トラマドール塩酸塩は癌性疼痛に対して弱オピオイド鎮痛薬として近年使用頻度の高い薬剤である.また担癌患者は凝固異常を基礎として静脈血栓症を合併することがありワルファリンカリウム(WF)で内服加療を現疾患の治療に平行して行っている患者も多い.今回,WF内服加療中の血栓塞栓症(PTE)合併子宮体癌の症例に対し,癌性疼痛の緩和を目的としてトラマドール塩酸塩内服を開始したところ,プロトロンビン時間(PT-INR)延長をみとめた症例を経験したので報告する.【症例】44歳0経妊0経産.近医にて婦人科腫瘍が疑われ当院紹介受診となり,子宮体癌の診断で腹式子宮全摘術,両側付属器切除術,大網切除術を施行した.術後病期はpT1cNxM1,右横隔膜下に残存腫瘍,stage4であった.術後化学療法を行い腫瘍マーカー陰転化したが,術後2年で腫瘍マーカーの再上昇,再発の診断となった.追加化学療法を行ったところ,PTEとなりWF内服を開始していた.その後は,本人の希望にて追加治療を行わなかったが,転移性脊髄腫瘍による疼痛が出現し,トラマドール塩酸塩の内服を開始した.それまでWFは維持量でコントロールされていたがトラマドール塩酸塩の内服開始後にPT-INRの著名な延長を呈した.全ての薬剤を一時中止としてWFの調整が必要となった.【結語】WFは他の薬剤との併用時に副作用が出やすい薬として知られており,トラマドール塩酸塩もその一つである.担癌患者は血栓症を合併する頻度が高く,それらの併用により出血傾向が高まることがあり,内服薬の確認やPT-INRの注意深い観察が必要となる.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(2)
376-376, 2013
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