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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))

【一般演題】
病理組織学的に完全な腸管構造を有した卵巣成熟嚢胞性奇形腫の一例


高野 恭平, 中西 美紗緒, 竹内 亜利砂, 大西 賢人, 張 士青, 桝谷 法生, 定月 みゆき, 矢野 哲, 箕浦 茂樹
国立国際医療研究センター病院産婦人科


【緒言】卵巣成熟嚢胞性奇形腫は,病理組織学的に腸上皮を認めることがあるが,完全な腸管構造を有するものは稀である.今回我々は,完全な腸管構造を有した卵巣成熟嚢胞性奇形腫を経験したので報告する.【症例】20歳,0経妊0経産.嘔気,腹痛を主訴に前医受診し,単純CT検査を施行したところ,骨盤底から上腹部を占拠する腫瘤を認めた.卵巣腫瘍を疑われ,同日に当科紹介受診となった.右上腹部に圧痛を認め,血液検査でWBC 11960/μl,CRP 7.62 mg/dl,CA125 36.2 U/ml,SCC 2.8 ng/mlと上昇を認めた.造影CT検査で左付属器に長径23 cm,右付属器に長径8.5 cmの多嚢胞性卵巣嚢腫を認め,内部に脂肪成分や石灰化が存在したことから,両側卵巣成熟嚢胞性奇形腫と診断された.卵巣嚢腫茎捻転または破裂を疑い,緊急に腹腔鏡補助下両側卵巣嚢腫摘出術を施行した.術中,褐色透明の腹水を中等量認めたが,茎捻転はなかった.卵巣嚢腫内容は,両側ともに肉眼的に毛髪,皮膚,脂肪組織を認めた.また,左卵巣嚢腫壁に20cmのループ状の管状構造物が存在した.管状構造物の両端は,盲端であった.病理組織検査では,両側ともに角化扁平上皮,汗腺,脂腺,毛嚢を認め,卵巣成熟嚢胞性奇形腫と診断された.管状構造物は粘膜,筋板,粘膜下層,固有筋層を備え,ほぼ完全な大腸類似の腸管構造を有していた.術後経過は良好で,術後6日目に退院した.【結語】今回,組織学的にほぼ完全な腸管構造を有する卵巣成熟嚢胞性奇形腫の一例を経験した.稀ではあるが,粘液性腺腫や悪性腫瘍の合併も報告されており,文献的考察を含めて報告する.


関東連合産科婦人科学会誌, 50(2) 377-377, 2013


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