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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))
【一般演題】
卵巣腫瘍と鑑別が困難であったCastleman's diseaseの1例
和田 真沙美, 中島 義之, 丸田 佳奈, 田代 英史, 草西 多香子, 諸岡 雅子, 渡邉 悠久美, 坂井 昌人, 正岡 直樹
東京女子医科大学八千代医療センター母体胎児科・婦人科
Castleman's diseaseは限局性あるいは多発性にリンパ節腫脹をきたす良性のリンパ増殖性疾患で,腫脹したリンパ節からインターロイキン6(IL-6)が産生されることにより種々の症状が発現することが知られている稀な疾患である.今回,我々は卵巣腫瘍と鑑別が困難であったCastleman's diseaseの1例を経験したので報告する.
症例は31歳,1回経妊1回経産婦で,産後1か月健診時に経腟超音波で5cm×4cmの卵巣腫瘍を認めた.自覚症状は認めず,血液検査でWBC 4,560/μl,CRP<0.03 mg/dl,LDH 183 IU/l,CA19-9 29 U/ml,CEA 2.4 ng/ml,AFP 1.5 ng/ml,CA125 7.9 U/mlであり,奇形腫が疑われた.骨盤MRIで腫瘍に一部充実性部分を認め,さらに左内腸骨リンパ節の腫脹を認めたことから卵巣悪性腫瘍も否定できず手術を施行した.術中所見は後腹膜腫瘍であり,術中迅速病理組織診断でCastleman's diseaseが疑われたため腫瘍を摘出し,周囲のリンパ節を切除し手術終了とした.なお,術後の血液検査でIL-6 38.0 pg/mlであった.術後病理組織診断においてもCastleman's disease(ヒアリン血管型)で,全身CTで他の部位にリンパ節腫脹を認めないことから限局型と診断した.術後経過良好で,現在外来で経過観察中である.
Castleman's diseaseは稀な疾患ではあるが,骨盤内腫瘍にリンパ節腫大を合併した場合は鑑別すべき疾患として念頭に置いておくべきと思われた.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(2)
378-378, 2013
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