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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))
【一般演題】
骨盤内腫瘤を契機にリンパ脈管筋腫症の診断に至った1例
山岸 絵美, 関口 敦子, 川端 英恵, 印出 佑介, 林 昌子, 奥田 直貴, 川端 伊久乃, 石川 源, 中井 章人
日本医科大学多摩永山病院産婦人科
リンパ脈管筋腫症(Lymphangioleiomayomatosis:LAM)は平滑筋様細胞が肺や後腹膜腔などの体軸リンパ節で増殖して病変を形成し,病変内にリンパ管新生を伴う疾患である.妊娠可能年齢の女性に発症し,主に気胸や難治性咳嗽などの呼吸器症状を契機に診断され,胸腔外病変から診断に至ることは稀である.本疾患は難治性の稀少疾患として厚生労働省難治性疾患克服研究,並びに特定疾患治療研究事業の対象疾患とされている.今回我々は,骨盤内腫瘤を契機に診断されたLAMの1例を経験したので報告する.
症例は43歳3回経妊3回経産.健診で骨盤内腫瘤を指摘され精査加療目的に当院紹介となった.超音波断層像および骨盤MRIで骨盤内から上腹部にかけて最大10cmから数cmの多発する嚢胞性病変を認めたため全身を精査,胸部CTで肺の気腫状変化を認めた.充実性腫瘍やリンパ節腫大などの異常は認めなかった.腫瘍マーカーはCA125,SCC,CEA,CA19-9いずれも正常範囲であった.骨盤・上腹部・肺に及ぶ多発嚢胞からLAMを疑ったが,腹膜偽粘液腫や卵巣癌,リンパ嚢腫も否定できず,開腹手術を施行.子宮・卵巣には異常を認めず,中等量の乳糜腹水と後腹膜から発生する多数の嚢胞性病変を認めた.嚢胞内容も乳糜色であった.嚢胞の一部を切除し閉腹,摘出標本の病理組織学検査で抗HMB45抗体,抗αSMA抗体陽性の平滑筋様細胞集塊を認めた.アミロイドーシスなどの他の肺嚢胞性疾患を否定し,病理組織診断および胸部CT所見からLAMの確定診断に至った.現在は分子標的療法を施行し呼吸器内科と当科において経過観察中であるが嚢胞性病変の減少には至っていない.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(2)
379-379, 2013
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