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第125回学術集会(平成25年6月15日(土),16日(日))
【一般演題】
卵巣成熟奇形腫摘出術後に発生した未熟奇形腫の腹腔鏡下手術の2例
前林 亜紀, 永石 匡司, 永田 瑞穂, 山本 範子, 山本 樹生
駿河台日本大学病院産婦人科
成熟嚢胞性奇形腫は卵巣腫瘍の約20%を占め,日常しばしば遭遇する疾患であるが,ときに未熟な胎児成分を含む未熟奇形腫がある.今回,卵巣成熟奇形腫核出後に生じた未熟奇形腫を2例経験したので報告する.症例1;32歳,2経妊0経産,26歳時に両側卵巣嚢腫核出術(成熟奇形種)を施行.今回は健診で左卵巣腫瘍を指摘され当院に紹介受診となった.MRIで左付属器領域に多嚢胞性腫瘤を認め,画像上は悪性を疑う所見は認めなかったので腹腔鏡下手術を決定した.腹腔内は,前回の手術によると思われる高度な癒着を認め,腹腔鏡下卵巣腫瘍核出術および癒着剥離術を行った.病理組織診断は,成熟奇形腫が主体で,ごく一部にG1の未熟奇形腫を認めが,病巣は限局していたため,追加治療は行わなかった.症例2;19歳,0経妊0経産,14歳時に左卵巣嚢腫核出術(成熟奇形種)を施行.今回は月経痛を主訴に近医を受診し,右卵巣腫瘍を指摘されたため当院を受診.MRIで,右付属器領域の約8cm大の多嚢胞性腫瘤を認めた.その後外来で腫瘤の増大傾向を認め,さらに腹痛が出現したため,緊急腹腔鏡下手術を決定した.術中迅速病理組織検査では一部に未熟な成分を認めたため,腹腔鏡下右付属器摘出術,大網生検術を施行した.術後病理組織診断は,G2の未熟奇形腫であったが,Ia期のため追加治療は行わなかった.いずれの症例も,卵巣成熟奇形腫核出術後の残存卵巣より発生した未熟奇形腫で,腹腔鏡での対応が可能であった.成熟嚢胞性奇形腫の術後症例は,再発だけでなく悪性化の可能性も踏まえ経過観察を行うことが必要と思われた.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(2)
380-380, 2013
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