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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))

【教育セミナー4】
骨盤内リンパ節郭清術のこつ


平嶋 泰之
静岡県立静岡がんセンター婦人科


 骨盤内リンパ節郭清術(Pelvic Lymphadenectomy;PLA)は婦人科悪性腫瘍手術において必須の手技である.さらに傍大動脈リンパ節郭清術や多臓器切除などの拡大手術を行う際には,ここで培った手技が非常に有用である.以下我々が行っているPLAに関してその方法とこつを述べる.我々は通常モノポーラー電気メスとCUSAを用い,血管は血管テープにて牽引している. 1)後腹膜腔の展開,側腔の展開(リンパ節郭清の準備)  腸骨窩腹膜を頭側に切開し,内・外腸骨動脈,尿管の走行を確認する.次に広間膜後葉を内側へ牽引しつつ,尿管と内腸骨血管の間を剥離し後腹膜腔を広く展開して側臍靱帯を同定する.  次に側臍靱帯の外側,外腸骨血管の内側から膀胱の側面に沿って疎な結合織の部分を展開し,骨盤低筋が視認できる深さまで膀胱側腔を展開する.直腸側腔(Latzco)展開では,広間膜後葉と尿管板を腹・内側へ強く牽引しながら,内腸骨血管の内側を尿管板に沿って展開する.  以上の操作で骨盤内の立体的な構造が明らかとなり安全,確実にPLAを進めることができる. 2)外・内腸骨血管周囲の郭清  まず外腸骨血管と腸腰筋を分離する.大体筋皮神経の内側から分離し,腸腰筋を露出させる層で剥離し,閉鎖神経の深さまで進める.外腸骨動脈血管鞘を剥離・展開し,外鼠径上節まで郭清する.この際外腸骨動脈の腹側を走行する深腸骨回旋静脈に注意する.外腸骨動脈を牽引して,動静脈間を剥離する.  内腸骨動脈の郭清では動脈起始部と背側の外腸骨静脈の間も剥離し,内腸骨動脈を遊離させる.上・下殿動脈等の分枝部を確認しながら剥離を進め側臍靱帯まで遊離させる.  外腸骨静脈周囲の剥離では末梢で閉鎖腔に向かう無名静脈に注意が必要である. 3)閉鎖節の郭清  閉鎖節の郭清は外腸骨血管を外側に牽引し,最初に閉鎖神経を同定する.閉鎖神経腹側は通常血管がなく容易に郭清できる.閉鎖神経背側には閉鎖動静脈を始め,血管が網目状に存在しているためCUSAで血管を露出後にリンパ節を摘出する.閉鎖神経中枢側は外腸骨血管外側から郭清する.閉鎖神経内背側には大腿神経が存在し注意がいる.また,第5腰椎付近で外(総)腸骨静脈へ流入する腰静脈も意識する必要がある. 4)総腸骨リンパ節の郭清  ここで注意する点は上述の腰静脈と,下大静脈前面から直接結合織内に分枝する小血管である.後者は経験上,頭側から尾側へ郭清した方が出血しにくい. 5)仙骨節,内腸骨静脈に沿った郭清  我々は総腸骨節郭清後にこの部分の郭清を行う.仙骨節では正中仙骨静脈に注意する.内腸骨静脈周囲の結合織は尾側へ剥離を進めると基靱帯の頭側面の層となり,我々はこの部分の郭清にも力を入れている.  リンパ節郭清術はリンパ節を摘出しようとするより,脈管や神経を周囲組織から剥離することで結果的にリンパ節が摘出される感覚が肝要である.また,血管(特に静脈)を把持することは控え,周囲組織を把持牽引して血管を押す感覚で剥離することを勧めたい.


関東連合産科婦人科学会誌, 50(3) 425-426, 2013


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