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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))

【ワークショップ1】
子どもの発達を胎児期から考える〜浜松母と子の 出生コホート研究


土屋 賢治
浜松医科大学子どものこころの発達研究センター


 自閉症スペクトラム障害は,3つの行動異常(対人関係の障害,意思伝達の障害,興味・関心の著しい偏り)を主徴とする,乳幼児期発症(通常,3歳以下)の神経発達障害である.その有病率は学童の2〜3%に上り,早期発見と教育的介入による予後改善の試みが盛んに行われている.その病態発生には遺伝的要因の関与が大きいことが確立している一方,その他の「非遺伝的要因」の関与も検討されてきた.かつては,両親の養育態度や乳児期の栄養などが危険因子ではないかとして検討されたこともあったが,現在までに,児出生後の「環境因子」が自閉症スペクトラム障害の危険因子となりうることを示した研究は事実上一つもない.一方,近年の疫学研究は,低出生体重,両親の年齢などの要因が自閉症スペクトラム障害の危険因子候補であることを繰り返し示している.すなわち,自閉症スペクトラム障害の成因を考えるに当たり,横断的な病像の検討のみでは不十分であり,胎児期まで遡った発達の縦断的な分析が求められる時代に入っている.  演者は2007年,研究プロジェクト「浜松母と子の出生コホート研究(HBC Study)」の運営を開始した.1200組の母子の参加を得て子どもの発達を長期的に追跡する研究であり,特に,自閉症スペクトラム障害児に特異的な発達的軌跡を描出することを目指している.発表では,その予備的な成果を紹介するとともに,胎児期や周産期に母子に作用する危険因子候補が子どもの発達軌跡に及ぼす影響についての検討を行う.


関東連合産科婦人科学会誌, 50(3) 430-430, 2013


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