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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【若手ポスターセッション1】
妊娠6週以前での双胎一児死亡により発生した無心体の1例
林 美佐, 小川 正樹, 岡田 純奈, 土屋 七恵, 松下 純子, 鈴木 志帆, 橋本 誠司, 櫻井 理乃, 金野 潤, 三谷 穣, 牧野 康男, 松井 英雄
東京女子医科大学産婦人科
【緒言】無心体は,一絨毛膜性双胎の一児の死亡後に,健常児側からの胎盤を介した血流により死亡胎児が栄養されている状態と認識されている.無心体側の血流の増加に伴い,健常児に心不全を来すことがあり,慎重な周産期管理が求められている.今回われわれは,妊娠のごく早期に双胎一児死亡を来し,管理中にTwin reversed arterial perfusion(TRAP)sequenceと診断された無心体例を経験したので報告する.【症例】41歳の初産婦.原発不妊のため,体外受精胚移植により妊娠が成立した.妊娠6週3日に妊婦健康診査および分娩を希望されて当院を初診した.経腟超音波検査で子宮内に胎児心拍が1個確認された.妊娠7週5日の超音波検査でCRL9.3mm,1個の胎児心拍が認められたが,2個の卵黄嚢が認められた.以上より,一絨毛膜二羊膜双胎妊娠の一児死亡が疑われた.妊娠8週5日,胎児は2個認められCRLは19.5/11.0mmで一方の児の心拍は認められなかった.以後当院で管理が行われた.妊娠18週5日,正常発育胎児と血流豊富な無心体が認められた.TRAP sequenceと診断され,妊娠20週6日,他院でラジオ波凝固術が施行された.以後特変なく経過し,妊娠39週に分娩となり生児を得た.【考察】双胎妊娠と診断される以前で,妊娠ごく早期に発症した双胎一児死亡により無心体と診断された一例を経験した.無心体の診断において妊娠早期の超音波検査の重要性があらためて示唆された.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
444-444, 2013
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