|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【若手ポスターセッション2】
周産期領域における深部静脈血栓症の治療に対する抗凝固療法の使用経験
椎名 雄樹1, 吉岡 範人1, 竹内 淳1, 岩端 秀之1, 鈴木 季美枝1, 西島 千絵1, 飯田 智博1, 田村 みどり1, 鈴木 直2, 田中 守2
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院産婦人科1, 聖マリアンナ医科大学産婦人科2
【緒言】妊娠から分娩,産褥の時期にかけてはエストロゲンや炎症性サイトカインが劇的に変化し,周産期における凝固能に多大な影響を及ぼしていることが考えられている.一方,産科領域における唇部静脈血栓塞栓症(DVT)の発症機序はいまだ十分に解明されておらず,妊娠自体が後天性血栓傾向を示す時期でもあることから,周産期におけるDVTの管理及び治療は非常に重要である.今回我々は周産期におけるDVT治療を5例施行し,その管理及び治療方法を経験したので報告する.【方法】妊娠期間中にDVTに関わる症状が認められた場合には下肢静脈エコーを施行し,初発時に入院管理にて未分画ヘパリンの持続点滴を施行した.次に用量調節未分画皮下注射に変更し外来管理とした.妊娠35週前後に下肢静脈エコーを再度施行し,一時的下大静脈フィルター(tIVCF)の適応の有無を検討し,分娩とする予定日の3〜5日前に入院し,未分画ヘパリン静脈注射に切り替え,分娩とした.【結果】5例中3例にDVT症状が認められ,2例は慢性DVTの既往が認められた.5例ともに近位型のDVTが認められ,治療後3例はDVTが継続して認められ,2例は壁在血栓が認められるのみであった.tIVCF挿入例は5例中2例であり,1例は永久フィルターが挿入されて紹介された.分娩方法は3例は帝王切開で1例は経腟分娩であり,残り1例は自然分娩の予定である.5例中1例(25%)は経腟分娩後に腟壁に血腫が認められ,血腫除去術を施行した.【結語】周産期におけるDVT治療に対する未分画ヘパリン及び用量調節ヘパリンの使用は従来使用されている安全に施行することができる抗凝固療法であるが,より安全な使用方法の確立が必要であることが示唆された.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
445-445, 2013
|