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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【若手ポスターセッション3】
hCG値10万IU/L以上を呈した帝王切開瘢痕部妊娠に対しメソトレキセート投与で保存的に加療し得た1例
夏山 貴博, 笹 秀典, 中西 篤史, 曽山 浩明, 青山 真, 太枝 美帆, 吉永 洋輔, 吉田 純, 高野 政志, 古谷 健一
防衛医科大学校産婦人科
【緒言】帝王切開瘢痕部妊娠(以下瘢痕部妊娠)に対する治療法として,手術療法,メソトレキセート(MTX),子宮動脈塞栓術等の報告がある.一般的にhuman chorionic gonadotropin(hCG)高値例では,保存的加療のみでは軽快しにくいと言われている.今回,hCG高値を呈しながらもMTX投与のみで加療し得た瘢痕部妊娠の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.【症例】34歳女性,3経妊3経産.3回帝王切開の既往あり.性器出血を主訴に来院.経腟超音波検査で瘢痕部妊娠が疑われ,hCG 80,000 IU/L台と高値を示していたために,患者本人と家族と相談の上,MTX投与で保存的に治療開始.MTX 10コース施行の時点で,hCG 10.3 IU/Lと著明な減少を認め,造影MRIで確認したところ,胎嚢と考えられる構造は消失し,絨毛組織を疑うようなT2W1高信号域や異常造影効果も消失していた.【考察】瘢痕部妊娠に対するMTX投与は,hCG 5,000 IU/L以下で全身投与のみで合併症がなく治療を行えるという報告があり,70〜80%の奏効率があるとされている.これに対して本症例では治療開始時のhCG 100,000 IU/L台と高値を示していたにもかかわらず,MTX投与のみで加療し得た.【結語】瘢痕部妊娠等に対するMTX投与による保存的治療域は広がっていく可能性があると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
450-450, 2013
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