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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【若手ポスターセッション4】
卵巣未熟奇形腫の1例
津田 明奈1, 竹中 将貴1, 柳田 聡1, 竹川 悠起子1, 山下 修位1, 中島 恵子1, 飯倉 絵理1, 田中 邦治1, 鈴木 啓太郎1, 礒西 成治1, 岡本 愛光2
東京慈恵会医科大学付属第三病院産婦人科1, 東京慈恵会医科大学産婦人科2
卵巣未熟奇形腫は胚細胞腫瘍の1つであり,頻度は卵巣奇形腫の1%未満と比較的稀な腫瘍である.その未熟性は未熟神経組織の含有によりgrade1〜3に分類される.gradeは再発率と相関し,grade1,grade2は境界悪性腫瘍,grade 3は悪性腫瘍とされる.特徴として若年生発症,片側性等が挙げられる.今回我々は卵巣未熟奇形腫の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は22歳女性.右側腹部痛を主訴に前医内科受診.腹部CTにて卵巣腫瘍が疑われ精査,加療目的にて当科紹介受診となった.当科受診時の骨盤MRIにて充実性成分と嚢胞性成分の混在する多房性両側付属器腫瘍を認めた.CEA 7.2 ng/ml,CA19-9 71 U/ml,CA125 353 U/ml,SCC 4.9 ng/ml,AFP 327 ng/mlと上昇を認めた.以上より,両側粘液性嚢胞腺癌もしくは転移性卵巣悪性腫瘍を疑い手術を施行した.開腹時,淡黄色の腹水約1Lを認め,右卵巣は約20cm,左卵巣は径約10cmに腫大していた.また,ダグラス窩腹膜と大網に多数の播種病変を認めた.術中迅速病理組織学検査で右卵巣とダグラス窩腫瘍の未熟奇形腫と診断されたため腹式単純子宮全摘術,両側付属器摘出術,大網切除術を試行した.病理組織学的検査では右卵巣は壊死を伴い大部分は成熟奇形腫であったが,一部に未熟な神経上皮性成分を認めた.大網の大部分やダグラス窩の播種病変にも同様の神経成分の播種を認めた.以上より,卵巣未熟奇形腫grade2と診断された.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
451-451, 2013
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