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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【若手ポスターセッション5】
同時化学放射線療法が奏功したG-CSF産生子宮頸部扁平上皮癌の1例
溝口 由香子, 種市 明代, 竹井 裕二, 町田 静生, 高橋 寿々代, 向田 幸子, 木村 歩未, 大橋 麻衣, 藤原 寛行, 鈴木 光明
自治医科大学産婦人科
【緒言】G-CSF産生を伴う子宮頸癌は治療抵抗性であることが多く,かつ稀であるためその治療方法は確立していない.今回我々はG-CSF産生子宮頸部扁平上皮癌に対し同時化学放射線療法(CCRT)が奏効した症例を経験したので報告する.【症例】41歳,1経妊1経産.不正性器出血を主訴に前医を受診したところ,子宮頸部腫瘤が認められたため当院へ紹介となった.子宮頸部に最大径9cmの腫瘤が存在し,内診上骨盤壁まで達していた.細胞診と組織診の結果は扁平上皮癌であり,子宮頸部扁平上皮癌IIIb期と診断した.腫瘍マーカーはSCCが1.9ng/mlと軽度上昇していた.37.8℃の発熱があり,白血球23,600/μl,好中球19,730/μl,CRP6.49mg/dlと高値であったが,感染,血液疾患,膠原病などの合併はなかった.G-CSF産生腫瘍を疑い,血中G-CSFを測定したところ144pg/mlと高値であった.子宮頸部組織診の免疫組織化学染色でも腫瘍部位にG-CSF陽性細胞を認めたため,G-CSF産生子宮頸部扁平上皮癌と診断した.治療はCCRTとし,全骨盤照射48.8Gy,腔内照射18Gyを行い,シスプラチン40mg/m2を1週間毎に4回投与した.白血球数と血中G-CSF値は治療による腫瘍縮小と共に減少を認め,CCRT終了時(腫瘍径2cmまで縮小)にはいずれも正常化した.現在は残存病変に対し,ネダプラチン・塩酸イリノテカン併用療法を継続中である.【考察】G-CSF産生子宮頸部扁平上皮癌は,既存の治療に奏効しないことが多いとされているが,CCRTが奏効した症例を経験した.稀な腫瘍であり,このような症例報告を積み重ねていく必要があると考える.治療前に感染や他疾患の合併がないにも関わらず白血球が高値の場合にはG-CSF産生子宮頸癌も鑑別に挙がる.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
454-454, 2013
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