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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【若手ポスターセッション6】
帝王切開の子宮手術創に発生した子宮内膜症の1例
有澤 奈良, 青山 和史, 吉澤 徹, 高安 義弘
諏訪中央病院産婦人科
【緒言】子宮内膜症は卵巣や骨盤内での発生が主だが,腸管,肺などにも発症する.また,帝王切開後の腹壁創部への発生もみられる.今回,帝王切開の子宮手術創に発生した子宮内膜症を経験したので報告する.【症例】32歳女性.2経産婦.2回とも帝王切開分娩.最後の帝王切開から4年が経過していた.不正性器出血を主訴に当科受診.超音波検査で子宮頸管部に4-5cm大の血種を認めた.子宮鏡検査,MRIで精査をすすめたところ,子宮頸管に本来の頸管とは別の腔(偽腔)が存在し,その偽腔内に出血点があり,血種を形成していることが明らかになった.活動性の出血が続いており,ヘモグロビンは2日間で11.3g/dlから6.3g/dlまで低下した.バルーンによる圧迫止血など保存的な対処を試みたが不成功であった.バイタルの変動をみとめ,高次医療施設への搬送も困難と判断した.結局,輸血を行いながら子宮全摘術を施行した.摘出した子宮の肉眼的所見は,子宮頸管の前壁に偽腔があり,この偽腔は内子宮口側に開いていた.病理組織検査では偽腔内腔面は子宮内膜腺上皮で覆われていた.なんらかの機序で偽腔内に出血を来し,偽腔内に血種を形成.それが子宮体部に逆流し,さらに頸管を通って外出血としてあらわれたものと推察した.偽腔は帝王切開創部に一致する場所で,内腔が子宮内膜組織で覆われていたことより,既往帝王切開の子宮創部に発生した子宮内膜症と診断した.【結論】月経にともなう自覚症状の有無にかかわらず,血種を形成するのう胞性病変には常に子宮内膜症の可能性を考慮する必要がある.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
456-456, 2013
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