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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【若手ポスターセッション6】
画像の詳細な検討により術前診断し得た骨盤腹膜由来の性腺外卵黄嚢腫瘍の一例
小林 愛子, 橘 涼太, 浦崎 美沙子, 曽根原 健太, 辻 さやか, 大岡 尚実, 中村 祐介, 安藤 大史, 小原 久典, 宮本 強, 塩沢 丹里
信州大学産婦人科
卵黄嚢腫瘍は卵巣悪性腫瘍の約1%を占めその多くは卵巣に発生するが,ごく稀に性腺外からも発生する.今回我々は直腸前面の腹膜から発生したと考えられた性腺外卵黄嚢腫瘍の一例を経験したので報告する.症例は38歳の女性で,近医で骨盤内に充実性腫瘤を指摘され,悪性卵巣腫瘍の疑いで当科を紹介された.診察上腫瘤はダグラス窩に手拳大に触知されたが直腸との可動性は不良であった.画像検査上ダグラス窩右側から直腸前面に不均一に造影効果のある9cm大の充実性腫瘤を認めた.右正常卵巣構造が腫瘤に接して認められ,腫瘤には右後方から右内腸骨動静脈由来の血管分布が疑われた.左卵巣は正常大であった.また腫瘍マーカーはCA19-9,CEAは正常なものの,CA125 282U/mlと軽度上昇,AFPは16,107ng/mlであったため性腺外卵黄嚢腫瘍と術前診断し開腹術を施行した.開腹所見上,腫瘤は子宮・両側付属器とは連続せず,ダグラス窩右側腹膜から直腸前面と連続し,同部位からの発生と考えられた.腫瘤は直腸から剥離できなかったため,術後化学療法を早急に行う方針とし,侵襲を少なくするために直腸前面に腫瘍の一部を残して閉腹した.術後病理診断も卵黄嚢腫瘍であり,BEP療法を3コース施行後,残存腫瘍は消失しAFPもカットオフ値以下で再発所見なく経過観察中である.骨盤内の性腺外卵黄嚢腫瘍の術前診断は困難であるが,詳細な検討により術前診断が可能であった.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
456-456, 2013
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