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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【若手ポスターセッション6】
硬化性腹膜炎を伴った黄体化莢膜細胞腫の1例
齋藤 良介1, 飯田 泰志1, 村嶋 麻帆1, 黒田 高史1, 山村 倫啓1, 森本 恵爾1, 鈴木 美智子1, 小曽根 浩一1, 田部 宏1, 高野 浩邦1, 佐々木 寛1, 岡本 愛光2
東京慈恵会医科大学附属柏病院産婦人科1, 東京慈恵会医科大学産婦人科2
莢膜細胞腫で黄体化細胞が弧在性あるいは胞巣状にみられるものを黄体化莢膜細胞腫という.今回われわれは硬化性腹膜炎を伴った黄体化莢膜細胞腫の1例を経験したので報告する.症例は31歳,1経妊1経産.30歳時に双極性障害を発症し内服治療を行っている.腹部膨満を主訴に前医を受診し,腹水および骨盤内腫瘤の精査加療目的で当院に紹介となった.MRI検査で大量腹水と拡散強調画像で高信号を呈する両側卵巣腫瘍を認め,原発性卵巣癌,転移性卵巣癌が鑑別となった.CT検査では大量腹水と両側卵巣腫瘍以外に,大網に播種を疑う所見,無気肺を伴う両側胸水を認めた.転移性卵巣癌の原発巣となり得る所見は認められなかった.上下部消化管内視鏡検査でも原発巣を認めなかった.以上より卵巣癌の診断で手術を行った.開腹所見は約2Lの淡黄色腹水を認め,卵巣は両側共に鶏卵大に腫大し,硬度は硬,表面には乳頭状構造を認めた.腹腔内に播種所見を認めなかったが,大網は一部肥厚を認めた.右付属器摘出術,大網切除術を行った.卵巣腫瘍の術中迅速病理診断は良性非上皮性腫瘍であった.挙児希望がなく,左右の卵巣が同様の所見であり,その他に腹水の原因となる所見を認めなかったため左付属器摘出術を行った.病理組織検査の結果は硬化性腹膜炎を伴った黄体化莢膜細胞腫であった.術後の経過は良好で一時退院となったが,その後頻回の嘔吐を認め腹水,腸閉塞の管理目的で入院となった.保存的治療を行うも改善を認めず,タモキシフェン,GnRHアゴニストを開始したところ徐々に改善を認めた.術後5ヶ月間GnRHアゴニストを使用し,その後は経過観察を行なっているが腹水の再発を認めていない.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
458-458, 2013
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