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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【若手ポスターセッション8】
子宮留膿腫の穿孔により汎発性腹膜炎を呈した2症例
勝又 佳菜, 安立 匡志, 平井 強
藤枝市立総合病院産婦人科
【緒言】子宮留膿腫は,子宮頸管の閉鎖により子宮腔内に分泌物が貯留,細菌感染が生じ膿汁貯留する疾患である.発症頻度は全婦人科患者の0.01〜0.5%前後で,60歳以上では13.6%にまで増加,高齢者に多く発症する.穿孔症例は稀とされている.今回子宮留膿腫穿孔により汎発性腹膜炎となった2症例を経験したので報告する.【症例1】81歳の2経妊2経産,腹痛と嘔吐を主訴に救急搬送された.2ヶ月前と一ヶ月前に不正性器出血あり,近医で子宮留血症と診断された.来院時,腹部全体に著明な圧痛と筋性防御を認め,超音波,造影CT検査で子宮の腫大と腹水貯留を認めた.帯下異常なし.緊急開腹術を行い,腹腔内に多量の膿性腹水,子宮体部後壁に15mmの穿孔および膿汁の流出を認め,子宮留膿腫穿孔による汎発性腹膜炎の診断で子宮全摘術を施行した.術後16日目に退院となった.【症例2】94歳の4経妊4経産,突然の腹痛を主訴に来院した.腹部全体に著明な圧痛を認めた.造影CT検査でfree air,大量腹水,腫大した子宮と子宮腔内のガス像を認め,子宮留膿腫穿孔の疑いで緊急開腹術が行われた.多量の膿性腹水と,子宮前壁に10mm大の穿孔および膿汁の流出あり,子宮留膿腫穿孔による汎発性腹膜炎と診断した.子宮全摘術および両側付属器切除術を施行した.術後心不全を認めたが,投薬治療で改善,術後25日目に退院となった.【考察】子宮留膿腫の穿孔症例は稀であり,さらに帯下異常等の婦人科的症状は少ないため,診断が難しい要因の一つである.2症例から造影CT検査が診断に有用であると考えられた.高齢女性の急性腹症で,婦人科的症状がない場合でも,子宮留膿腫穿孔を考慮する必要がある.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
461-461, 2013
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