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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【若手ポスターセッション8】
骨盤内膿瘍に対して外科的治療により良好な経過が得られた2症例―開腹手術と腹腔鏡下手術の比較
伊藤 敏谷, 小田 智昭, 矢田 大輔, 窪田 尚弘, 鈴木 康之
富士市立中央病院産婦人科
骨盤腹膜炎はしばしば診断に苦慮し,また内科的治療では改善せず外科的治療が必要となる.今回当施設で骨盤腹膜炎に対して開腹手術または腹腔鏡下手術を行い良好な予後を得た2症例を経験したので,考察を加えこれを報告する.症例1.41歳0経妊 既往歴:月経困難症にて通院治療歴あり.現病歴:突然の腹痛で救急外来受診,左卵巣は40mm大に腫大し,ダグラス窩に腹水を認めた.骨盤腹膜炎疑いにてCTRX 2g/日,MINO 200mg/日投与を開始したが,翌日38.2度までの発熱あり.血液検査で炎症反応高度上昇,下腹部痛改善せず緊急開腹手術施行.左卵管腫大と左卵巣内膜症性嚢胞を認め左付属器摘出術を施行した.手術時間103分間,出血量820ml.腟細菌培養と術中採取した細菌培養ではE.coli+.術後速やかに解熱し経過良好にて退院した.症例2.48歳3経妊2経産 既往歴:子宮内膜症で低用量ピル内服中.現病歴:下腹部痛のため救急要請.下腹部圧痛あり左卵巣は45mm大に腫大していた.血液検査では炎症反応高度上昇あり,骨盤腹膜炎を疑いCTRX 2g/日,MINO 200mg/日開始した.2日後発熱,下腹部痛改善せず,血液検査で高度炎症反応が続いたため腹腔鏡下に緊急手術施行.左卵巣,卵管腫大認め左付属器摘出術を施行した.手術時間109分間,出血量少量.腟細菌培養からはHaemophilus influenzae+.術後速やかに解熱し経過良好にて退院となった.上記2症例ではほぼ同時期に抗菌薬治療から外科的治療に移行し,良好な経過が得られた.従来骨盤内膿瘍に対しては開腹手術が基本的に行われてきたが,腹腔鏡下手術は低侵襲で,骨盤内の視野の確保が可能なため,診断・治療に有効である可能性が示唆された.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
462-462, 2013
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