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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【若手ポスターセッション9】
当科における過去20年間における妊婦風疹抗体保有率の推移
栃木 辰子, 渡辺 博, 木内 香織, 多田 和美, 西川 正能, 大島 教子, 深澤 一雄
獨協医科大学産婦人科
本邦における2011年の風疹集団発生以降継続する風疹患者数の増加に伴い,昨年10月から1年足らずで10人以上の先天性風疹症候群(CRS)が発生し社会問題となっている.1994年の予防接種法改正により,当時の小学生・中学生での風疹ワクチン接種率が低下,現在,生殖年齢である彼らの高率な風疹感受性者に大きな影響を及ぼしている.今回,当科における過去20年間における妊婦風疹抗体保有率を後方視的に調査した.対象は1991年4月から2012年12月までに当院で出産した妊婦14,097名で,妊娠初期に測定した風疹抗体価(HI法)について検討した.感染リスクのあるHI抗体価16倍以下を抗体陰性者とした.1990年代では抗体陰性者が15%前後で推移していたが,2000年に入り18-25%に上昇,最近の5年間は25%で推移していた.また抗体陰性者は現在40歳代で15-18%,30歳代で21%,25-30歳で20%,24歳以下で42%と若い世代での抗体保有率の低下を認めた.更に28歳以下の抗体保有率を1年おきに比較したが年々低下傾向を示し,26歳では30%が陰性,22歳以下では50%が陰性であった.現在,当科では妊娠初期の風疹抗体価で風疹感受性者には分娩後の風疹ワクチン接種を,その家族を含め強く勧奨している.現在,本邦で大流行している風疹に対する感受性者の把握および彼らへのワクチン接種を強力に推し進めて,発症予防可能であるCRSの発症を抑えるべく産婦人科医としての対応が早急に求められていると考えられる.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
464-464, 2013
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