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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【若手ポスターセッション9】
産褥期に急性増悪し判明した重症筋無力症合併妊娠の1例
野口 真以, 仲谷 美沙子, 田島 浩子, 川西 智子, 高橋 慎治, 徳永 直樹
磐田市立総合病院産婦人科
【緒言】重症筋無力症(MG)は,神経筋接合部の刺激伝導が障害される自己免疫疾患である.今回我々は産褥期にMGクリーゼを起こし判明したMG合併妊娠の1例を経験したので報告する.【症例】40歳,1経妊0経産.既往歴に特記事項なし.前医にて妊婦健診施行し帰省分娩希望のため,妊娠34週2日より当科管理となった.妊娠中は,自覚症状の訴えや身体所見に異常所見はなく経過した.妊娠39週4日破水したが微弱陣痛のため妊娠39週5日オキシトシンによる分娩促進を行った.分娩第2期遷延のため吸引分娩を施行したが分娩に至らず緊急帝王切開となった.術後1日目,軽度呼吸困難の訴えあったが血液ガスやレントゲン検査に異常所見が認められなかったため経過観察とした.術後2日目になると,呼吸苦はさらに悪化しSpO2は87%まで低下した.再度検査行ったが呼吸器疾患は否定的であったため,筋・神経疾患の鑑別疾患を行った.軽度の眼瞼下垂と左外転神経麻痺があり,症状の日内変動が認められ,反復刺激試験も陽性であったためMGと診断された.呼吸困難が急激に悪化したことから,出産・手術を誘因としたクリーゼの発症と考え,人工呼吸器管理,ステロイドパルス療法,免疫グロブリン大量静注療法を施行しMG症状は改善された.【結語】MGクリーゼの誘因の中に,妊娠や手術がある.日常的にMGを疑わせるような所見がなければ診断が困難であるが,呼吸困難を起こす疾患としてMGクリーゼの可能性も念頭に入れておく必要があると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
465-465, 2013
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