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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【優秀演題】
腹腔鏡下子宮内膜症性卵巣嚢胞摘出術後再発症例の転帰
原口 広史, 甲賀 かをり, 泉 玄太郎, 齊藤 亜子, 高村 将司, 原田 美由紀, 平田 哲也, 廣田 泰, 大須賀 穣, 藤井 知行
東京大学産婦人科
子宮内膜症性卵巣嚢胞(EM cyst)に対する,腹腔鏡下嚢胞摘出術(LC)施行後は,再発が問題となる.当科の検討でも術後2年以内に約3割の再発を認めた.しかし,再発症例のその後の転帰についての報告は少ない.そこで今回我々はLC後再発した症例の転帰について不妊治療と病変治療の転帰に分けて検討した.対象は1995年から2007年までに,当科においてEM cystに対しLCを施行した症例のうち,術後2年の時点で再発が確認された86例とした.再発の定義は超音波で2cm以上のEM cystと診断される所見を認めたものとした.不妊治療の転帰については,挙児希望のあった46例を対象として検討した.不妊治療を行わなかったのは4例で,それらはすべて妊娠に至らなかった.不妊治療を行った症例は42例でそのうち22例にARTが施行された.10例がnon ARTにより,8例がARTによって妊娠成立した.またこれらの妊娠症例中4例は再手術後に妊娠が成立していた.病変治療の転帰については,86例中,27例が無治療,33例が薬物療法にてフォローされていた.一方,26例には再手術が施行されていた.術式は,両側付属器摘出術が7例,片側付属器摘出術が9例,嚢胞摘出術が10例であった.再手術の適応は,増大傾向13例,症状増悪6例,不妊治療目的5例,悪性腫瘍出現2例(重複あり)であった.再発EM cystで挙児希望がある症例は積極的な不妊治療を行えば1/3以上に妊娠が期待できることが明らかになった.また,病変の転帰としては約2/3の症例は無治療あるいは薬物療法でフォローされるが,約1/3の症例では再手術が必要となっており,悪性腫瘍の出現を認める場合もあり,注意深い経過観察が必要であることが示唆された.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
470-470, 2013
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