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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【優秀演題】
卵巣癌再発手術(SDS)後の補助化学療法は有用か?
米田 聡美, 武隈 宗孝, 久慈 志保, 田中 晶, 安部 正和, 高橋 伸卓, 平嶋 泰之
静岡県立静岡がんセンター婦人科
緒言
卵巣癌では,6カ月以上の無病期間を有する孤発再発症例に対する手術療法(SDS)は,有用な治療戦略と位置付けられている.しかしSDS後の補助化学療法の有効性については不明である.今回,当科で行ったSDS症例についてその臨床病理学的特徴および術後補助化学療法の有用性などについて明らかにする.
方法
2003年11月から2011年11月までに当院でSDSを行った再発卵巣癌30例について後方視的に解析を行った.
結果
年齢は中央値59.5歳(39-79歳).再発部位は腹膜播種25例(83.3%)が最も多かった.初回治療終了後から再発手術までの期間(Treatment Free Interval:TFI)は中央値3年8ヶ月(7ヶ月-14年)であった.術後残存腫瘍は肉眼的腫瘍消失は25例(83.3%)に得られ,残存腫瘍最大径1cm未満は4例(13.3%)であった.術後補助化学療法は12例(40%)に行った.観察期間中央値;22.9カ月,無増悪生存期間中央値;13.1カ月(18日-61カ月),全生存期間中央値;26.7カ月(18日-71.9カ月)であった.術後,再々発に影響を与えた因子の検討では,血清CA125値:40U/ml以上がp=0.098と予後不良因子として強い相関を示した.また術中腹水細胞診陽性(p=0.261)およびTFI4年未満(p=0.216)も予後不良の傾向にあった.また死亡に影響を与えた因子の検討では組織型(明細胞腺癌)が有意に予後不良因子として抽出された(p=0.031).術後化学療法については再々発(p=0.42)および死亡(p=0.127)に対し統計学的な有用性は示されなかった.
結論
SDSは臨床的に許容できる治療法であると考えられた.一方,SDS後化学療法の必要性については慎重に検討する必要があると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
470-470, 2013
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