|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【一般演題】
重症妊娠高血圧症に併発した全身性強皮症腎クリーゼの1例
金子 明夏, 小幡 新太郎, 計良 和範, 佐藤 史朗, 西方 紀子, 山ノ内 美紀, 清水 久美子, 杉田 達哉, 田中 圭
成田赤十字病院産婦人科
【はじめに】強皮症の好発年齢は30〜50歳台であり,妊娠に合併することは比較的少ない.強皮症は内臓病変合併の有無により全身性強皮症(SSc)と限局性強皮症に分類され,その管理方法が大きく異なる.今回われわれはSSc合併妊婦が重症妊娠高血圧症を発症し,その後強皮症腎クリーゼを併発した症例を経験したので文献的考察をふまえ報告する.【症例】36歳初産婦.3年ほど前より手のこわばりが出現し,2年前にSScと診断された.シクロホスファミドやACE阻害剤で治療を行っていたが,病状が安定し挙児希望があったため,薬剤は中止され自然妊娠した.妊娠中期までは血圧上昇や蛋白尿の出現なく,児の発育も順調であった.妊娠37週頃より血圧上昇を認めたが,アルドメット内服で血圧は130/80mmHg台へと落ち着いた.その後外来管理を継続した.妊娠38週6日胎動減少を主訴に来院し,血圧200/110mmHgと著明な上昇を認めたため緊急帝王切開を行った.児は2874g,アプガースコア8/9点(1分/5分値).帝王切開後,血圧は下降したが,利尿が進まず腎機能障害が悪化した.強皮症腎クリーゼの診断で術後4日目よりACE阻害剤を開始した.【考察】本症例では妊娠前に腎機能障害を認めていなかったが,SScの場合,潜在的な腎機能低下があることを考慮して妊娠管理に臨むべきである.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
472-472, 2013
|