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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【一般演題】
妊娠22週で重症のHELLP症候群を発症した一例
島井 和子, 早田 英二郎, 松江 陽一, 松尾 若奈, 上村 有樹, 長崎 澄人, 釘宮 剛城, 宗 晶子, 前村 俊満, 片桐 由起子, 田中 政信, 森田 峰人
東邦大学医療センター大森病院産婦人科
【緒言】HELLP症候群は,溶血,肝酵素の上昇,血小板低下を3主徴とする症候群である.全妊娠の0.5〜0.9%に発症し,大多数の症例は妊娠27-37週に診断される.今回,妊娠22週にHELLP症候の診断で緊急帝王切開に至った症例を経験したので報告する.【症例】39歳,1経妊1経産(妊娠30週早産,FGR),自然妊娠.妊娠初期より当院で妊婦健診を施行し高血圧や蛋白尿を認めず妊娠経過は良好であった.妊娠22週4日,急激な上腹部痛を生じたため当院救急外来受診.来院時の血圧は130/101mmHgと軽度上昇認める以外明らかな異常は認めなかった.来院直後の血液検査では肝酵素の軽度上昇,凝固系の亢進を認める以外は明らかな異常値を認めなかった.来院1時間後2回の強直性痙攣,全身チアノーゼを認めたため精査加療目的で入院となった.入院後の血液検査にて急激な肝酵素の上昇,血小板数低下認めHELLP症候群の診断に至り,来院5時間後に緊急帝王切開を施行した.児は体重243g,Apgar score1/4で新生児科に入院となった.母体は緊急帝王切開施行後,鎮静・挿管し救命センターでの管理となり,術後15日目に抜管,術後33日目に退院となった.胎盤の病理組織学的検討では臍帯辺縁付着以外,梗塞など明らかな異常所見は認められなかった.【考察】妊娠27週未満におけるHELLP症候群の発症例は約10%と少ない.本症例は妊娠22週という極めて稀な週数での発症であり,かつ子癇も合併する重症型であった.さらに,超早産児の厳重な管理を余儀なくされるため母子共に救命することは非常に困難である.妊娠週数に関わらず,上腹部痛を訴える妊婦は,HELLP症候群を念頭に置くことが重要であると考える.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
473-473, 2013
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