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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【一般演題】
HELLP症候群の発症および重症化の予測因子の検討
屋代 律子, 山田 美恵, 小田 理沙子, 松井 泰佳奈, 岡部 瞳, 戸田 美帆, 佐藤 隆之, 鈴木 正明
賛育会賛育会病院産婦人科
【目的】HELLP症候群は,溶血,肝酵素の上昇,血小板減少を主徴とし,時に母体死亡の原因をきたす重篤な産科合併症である.国際的に診断基準はいくつかあるものの,いずれも血小板減少を重視し,血小板の著しい減少を認めるものを最重症と扱っている.本邦でも妊娠高血圧症候群(以下PIH)ガイドラインでは,血小板数についてはSibaiの基準(10万/μl以下)を満たさなくても15万/μlを下回った場合,慎重に経過をみるよう提唱している.今回,当院で経験したHELLP症候群について後方視的に検討した.【方法】2005年から2012年に当院で経験したHELLP症候群14症例を対象とし,Sibaiの基準を全て満たすComplete-HELLP(以下C-HELLP)とP-HELLP,および血小板減少の程度を10万/μl未満まで減少した群(以下血小板減少群)とそれ以外の群に分け,母体背景や臨床経過について後方視的に比較検討した.【成績】背景として,14例中13例でPIHを合併していた.検査データでは,ASTおよびLDHの上昇が血小板低下よりも先行する傾向にあった.C-HELLPとP-HELLPの比較においては,C-HELLPでより血圧が高く,輸血が多いという傾向にあったが有意差はなかった.血小板減少群では血小板が保たれた群と比較し年齢が平均34.2歳と高かった.また,血小板減少群では非妊時のBMI平均が20.6であり,それ以外の群(平均24.3)と比較し低い傾向にあった.【結論】HELLP症候群は発症および重症化の予測が困難な病態であるが,重症化すると母体に重篤な合併症を起こす病態である.高齢,非妊時BMI高値の妊婦ではPIHを合併しやすいといわれているが,非妊時BMIが低い妊婦や高齢妊娠などの高リスク群においては特に慎重な対応が必要である.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
473-473, 2013
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