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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【一般演題】
骨盤X線計測結果からみた,低身長妊婦の帝王切開リスクの検討
鮫島 大輝, 佐川 義英, 古村 絢子, 寺田 光二郎, 中村 泰昭, 落合 尚美, 中川 圭介, 中江 華子, 五十嵐 敏雄, 梁 善光
帝京大学ちば総合医療センター産婦人科
【緒言】低身長妊婦での高率の帝王切開の原因として,最初に骨盤の狭さがあげられる.もちろん他の関連因子もあると考えられるが,確固たる研究に乏しい.今回,低身長妊婦の分娩様式に影響を与える因子を,骨盤X線写真を再計測し,さらに同等に骨盤の狭い非低身長妊婦と比較することにより検討した.【方法】当院での2009年3月から2013年5月の期間で,分娩前に骨盤X線計測を施行し35週以降で分娩に至った症例は298例あり,このX線写真を再計測し2つの検討を行った.1:身長150cm未満の妊婦は30例であり,分娩方式および背景因子について検討を行った.2:全体の298例の中で,骨盤計測の結果で比較的狭骨盤と分類された初産婦40例を身長150cm未満(L群:11例)と以上(H群:29例)の二群に分け,同様の検討を行った.【成績】1:30例中,帝王切開が10例,経腟分娩が20例であった.この二群間の比較では,年齢,身長,体重,BMI,週数などの背景においては有意差を認めなかった.一方,骨盤入口部最短前後径,入口横径,比較的狭骨盤妊婦の割合,最短前後径−BPD値,出生児の頭囲長で有意差を認めた.なお,出生体重では有意差を認めなかった.2:次にL群とH群で同様の検討を行った.40例中,帝王切開が14例で,L群において有意に高かった.(63.6%:24.3%,P=0.02)しかし,骨盤入口部最短前後径,入口横径,最短前後径−BPD値,出生児の頭囲長,出生体重では有意差を認めなかった.またL群では回旋異常の合併が有意に多かった.(27.2%:3.4%,P=0.02)【考察】低身長妊婦では,骨産道因子および児頭の大きさが経腟分娩の成否にかかる因子と考えられた.また骨産道因子や児頭の大きさが同じ条件の非低身長妊婦と比べても,帝王切開になりやすい結果であった.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
485-485, 2013
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