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第126回学術集会(平成25年10月26日(土),27日(日))
【一般演題】
総合周産期センターである当院勤務者の風疹抗体価の実態と風疹予防対策への検討
吉田 惠美子, 佐藤 杏奈, 大野 基晴, 植木 典和, 太田 奈月, 早田 昌弘, 菅沼 牧知子, 田中 沙織, 田中 利隆, 田口 雄史, 三橋 直樹
順天堂大学医学部附属静岡病院産婦人科
【目的】近年,風疹の流行が社会問題の一つとして注目されている.厚生労働省感染症発生動向調査によれば2012年は2,392例の感染報告があり,過去5年間で最も多い報告数であった.2013年は3月末時点でこれを上回り,全数報告疾患となった2008年以降最速で報告数が増えている.この影響により2012年10月から2013年5月末までに10人の先天性風疹症候群が報告された.2012年の風疹患者は7割以上が男性で,うち20-40代が8割を占める.一方,20-40代の女性の4%が風疹抗体陰性,11%では感染予防には不十分な弱陽性であり,妊産婦の集中する医療現場での風疹抗体価の実態把握と感染予防対策が望まれる.【対象】当院に勤務し2013年3月から6月に実施した定期職員検診を受診した全職員1,185人を対象とした.【方法】風疹ウイルスIgG抗体価をEIA法にて測定し,2.0未満を陰性,4.0以上を陽性,2.0-3.9を弱陽性と判定した.【結果】風疹抗体陰性率は,全対象者1,185人のうち5.7%の67人であった.男女別では女性の4.3%,男性の9.5%が陰性であった.男女別,年代別では女性50代の14.9%,男性40代の22.9%が陰性であり,それぞれ高率を示した.【結論】風疹予防接種は,周知の通り予防接種法改正に伴い1995年4月から生後12〜90カ月未満の男女に対しての定期接種に変更されており,この変更の狭間世代では接種率が低く感染の危険性を示唆されている.特に当院のような総合周産期センターでは妊産婦と接する機会が多く,抗体価の実態を把握し適切なワクチン接種を行うことが予防対策として重要といえる.
関東連合産科婦人科学会誌, 50(3)
487-487, 2013
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